(後編)ビックカメラ流「想いチャネル」戦略【連載】O2Oマーケティングに挑む

ネット時代の現在、「店舗がネットに代替されてしまう」という議論は少なくない。しかし、実際には、代替できないことも非常に多い。実店舗展開に強みを持つビックカメラの取り組みから、オムニチャネル戦略の現実解を模索する。

» 2014年08月27日 08時05分 公開
[小川和也,グランドデザイン&カンパニー/SPARK]

(前編)どのチャネルでもお客さまに選ばれるブランドへ――ビックカメラのオムニチャネル戦略では、ビックカメラがいかに、消費者の情報取得行動の変化に対応したか、その背景を紹介した。後編では、ネット時代における実店舗の強みを同社の事例を元に解説する。


実は「逆ショールーミング」が多く起こっている

堀越 お客さまが店頭で体験/体感して品定めされ、その後ネットで買おうと思われる中で、できれば弊社チャネルのどこかで買っていただけるように努力しているというのが(前回)のお話ですが、実は、逆のケースも多く起こっています。ネットで下見して候補を絞り込んで、プリントアウトしたペーパーを持って、店舗に来て実際に商品を見ながら相談されるお客さまが多くいらっしゃるのです。

小川 いわゆる世間一般に言われるショールーミングの逆ですね。意外と知られていない実態ですよね。

堀越 商品にもよりますが、高額なものや、機能性が高いものに関しては、専門家の意見を聞きたいというニーズが多く見受けられます。

 ネットで下見をし、店舗で商品を体感し、専門家のわかりやすい説明を受けて納得いただくのですが、もちろん最終的には価格も比較されます。ところが、店頭スタッフもできる限り期待にお応えしようとすると、店頭で買う方が多少高かったとしても、お買い求めいただけるというケースも実は多いのです。一生懸命商品説明し、価格についてもできるかぎり努力した、その熱意を駆っていただけるのだと思います。日本人の素敵なところです。

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