米Google、2025年第2四半期「好調決算」 広告市場混乱の中でも“耐久力”見せたワケMarketing Dive

米Googleの2025年第2四半期決算が好調だ。

» 2025年08月05日 06時00分 公開
[Peter AdamsMarketing Dive]
Marketing Dive

 デジタル広告市場は、関税の影響による経済への打撃や人工知能(AI)の台頭によるエコシステムの変革により不透明感が高まっている。しかし、こうした外部要因があるにもかかわらず、2025年第2四半期(Q2)における米Googleの業績を揺るがすことはなかった。

ゲッティイメージズより、写真はイメージ

主力事業の好調な成長

 Googleの親会社であるAlphabetの決算報告によれば、同社最大の事業部門である「検索およびその他」の収益は前年同期比で12%増の542億ドルに達し、YouTubeも同13%増の98億ドルを記録した。Q2全体の広告収益は、前年比10.4%増の713億ドルとなった。

 アナト・アシュケナジCFO(最高財務責任者)は、アナリスト向けの説明会で「検索は小売業や金融サービス業界を中心に、あらゆる業種で成長した」と述べた。また、検索体験に生成AI機能を導入する取り組みも、引き続き消費者に受け入れられているという。

<主要な数字>

・542億ドル: 「検索およびその他」部門のQ2広告収益。あらゆる業種で成長を記録。AIによる検索概要(AI Overviews)は収益性に影響していない

・200万: 生成AIを活用した広告配信ツールを利用する広告主数。前年比50%増

・400億時間: YouTubeで年間に視聴されるスポーツ関連コンテンツの総時間。ライブスポーツ配信を強化中

AI Overviewsと検索体験の進化

 AI Overviewsは、生成AIを活用して検索結果を簡潔にまとめる機能で、月間アクティブユーザー(MAU)は20億人を超える。また、米国とインドで提供中の複雑な検索向け「AIモード」は1億MAUを突破している。

 フィリップ・シンドラーCBO(最高業務責任者)は「AI Overviewsの導入後も収益化の割合はほぼ同等であり、これを基盤に次世代の革新的な広告フォーマットを開発できる」と説明した。

AI広告ソリューションの拡大

 広告主向けAIツールの提供も拡大している。2025年5月に提供を開始した検索向けソリューションスイート「AI Max for Search」は、ブランドのコンバージョン率を平均14%向上させるという。シンドラー氏によれば、AIを活用したアセット生成ツールの利用企業者数は、前年比50%増の200万社に達した。

 米調査会社フォレスターのシニアアナリスト、ニキル・ライ氏は「AI Max for Search、スマート入札探索(Smart Bidding Exploration)、需要生成(Demand Gen)、アセットスタジオ(Asset Studio)といったAI広告製品が、期待通りの成果を上げているが、広告主はパフォーマンス向上のために一定の管理権限や透明性を手放す必要がある」と指摘した。その上で「それでも予算が厳しいブランドや代理店は導入を続けるだろう」と述べた。

YouTubeの躍進とライブスポーツ戦略

 YouTubeも、Q2における成長の柱となった。テレビ市場での存在感を増し、TikTok類似機能「Shorts」の収益化が進んでいる。

 Googleのサンダー・ピチャイCEO(最高経営責任者)は、Shortsの1日あたりの視聴回数が2000億回を超え、米国では1時間あたりの広告収益が従来のYouTube動画と同等になったと語った。

 また、ピチャイ氏は米視聴率調査会社ニールセンのデータを引用し、YouTubeがストリーミング分野のトップに立ったと強調。これをライブスポーツへと拡大する戦略の一環として、2025年9月にはNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)の独占試合中継を予定している(YouTube TVではNFLサンデーチケットも提供中)。スポーツ関連動画の年間視聴時間は、400億時間に達している。

今後のリスクと見通し

 一方で、Googleは依然として複数のリスクに直面している。独占禁止法関連の規制強化、ChatGPTなどAI競合の台頭、さらには貿易戦争による広告需要減少リスクなどがある。また、2024年の政治広告特需の反動で、今後は前年同期比の伸びが鈍化する懸念もある。

 シンドラー氏は「下半期についてコメントするには時期尚早だ」と述べるにとどめた。

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