まず、ビックデータが対象とするデータの範囲を定義しよう。
ビックデータの目的は、ビジネスチャンスをつかみ取ることだ。言い換えるとそれは、「誰に、何を、どのメディアを通して、いくらの予算をかけて消費者にアプローチすることが投資効果を最大化できるか」を紐解くことである。
そして、マーケターは、紐解かれたデータを元に「マーケティング戦略を描き、実行し、さらに指標を測定して、最適化を図る」。よって、ここではこれら全ての段階においてデータ分析に活用できるデータを“ビッグデータ”とする。中でも最も重要なデータは、“購買に直接結びついているデータ“と、ターゲットの行動解析に役立つデータである。
購買に直接結びついているデータは大きく分けて2つある。
自社のセールスデータと、提携パートナーのトランザクションデータである。自社のセールスデータからは、売れ筋商品が把握できる。 また、このデータに顧客情報と顧客の属性が結びついていれば、どんな顧客に対してどういう商品が売れるのか把握できる。提携パートナーのトランザクションデータとは、ポイントプログラムなどがあり、自社製品とそれ以外の購買データが把握できる。
さらにもう一歩踏み込めば、消費者のライフスタイル、その中での自社の製品のポジションを把握することも可能だ。商品に顧客属性を紐づければ、性別や年齢だけでなく、地域や時間帯、そして家族構成や所得情報も把握できる。こうした情報は、消費者のライフスタイルにより密接し、より親和性が高いコミュニケーションの実現を意味する。
BtoBであれば、企業ごとに特定のカテゴリーの支出を公表している場合もある。こうしたデータもビックデータの対象として含めるべきであろう。例えば、シスコでは、自社のカテゴリーのスペンディング情報をターゲット企業ごとに分析し、カテゴリースペンディングの規模と自社製品の浸透率の2軸でターゲット企業を4分割している。シスコは、この価値指標という観点に基づき、セグメントごとに異なったコミュニケーション戦略を策定している。
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第3回 スマートフォンで小額決済、割り勘機能も――ソーシャルバンキングサービス「Kaching」
第5回 消費者の行動変化を見極める――2013年のデジタルキャンペーン設計
第6回 データ・サイエンティストに学ぶビッグデータのマーケティング・イノベーション3つのポイント
第7回 モバイルが利用される“モーメント”を選び、“モバイルムーブメント”を起こす
第8回 ソーシャルメディアでムーブメントを起こす際の心得
第9回 ソーシャルメディアで人間性豊かなコミュニケーションを展開するために
第1回 拡張現実(AR)の背景と現状について――私はいかにしてARに魅せられたか
第2回 設計図のないビル工事 〜パッチワークでは結果は出ない〜
第1回 統計データから紐解くマーケティングの「デジタルシフト」
第2回 コミュニケーション戦略マップ――BSC各視点の因果関係を整理
第2回 「多機能/高品質なのに低収益」――間違いだらけの顧客中心主義から抜け出す
第1回 衰退する企業と躍進する企業、違いは「事業定義の仕方」にある
第1回 CMOが日本の組織に馴染まない理由Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.