第7回 モバイルが利用される“モーメント”を選び、“モバイルムーブメント”を起こす【連載】海外事例に学ぶマーケティングイノベーション(1/2 ページ)

今回はソーシャルメディアの拡散性を活かしたコミュニケーションを考察する。また、モバイルというコミュニケーションジャンルをさらに進化させる新たなコミュニケーションデバイス「ウェアラブル」についても少し触れる。

» 2013年04月17日 08時00分 公開
[馬渕邦美,オグルヴィ・アンド・メイザー・ジャパン]

 モバイルの重要性が増している。

 消費者は常にモバイルを持ち歩くようになり、日々を追うごとに消費者の生活に浸透してきている。モバイルは多機能性とモビリティ性が特徴だが、サービスと技術が日々進化し、ユーザビリティがさらに向上している。そして、ユーザビリティが向上する度にモバイルは消費者の生活により深く浸透していく。

 消費者はより使いやすく、より便利で、より価値あるサービスや使い方を貪欲に求め、昨日まで頻繁に利用し使い慣れた機能も、デバイスのアップグレードや、より優れた新しいサービスが登場するたびにそうしたプラットフォームを乗り換える。

 モバイルでのユーザーの利用率は爆発的に増加する一方で、終焉するアプリやサービスのスピードも速い。

 日々ダイナミックに変化する中、マーケターはモバイルチャネルに普遍的価値と活用方法を見出すべく、ここ数年本格的にモバイルマーケティングに力を入れている。

 iPhoneの普及時には、モバイルで何ができるかをトライ&エラーを重ね試行錯誤する企業が多かったが、スマートフォンの浸透率が高水準で落ち着いた2013年の現在は企業の取組みは大きな変化を見せている。ブランドのビジネス課題解決や明確なリターンを求めて、企業はモバイルマーケティングに本腰を入れて取り組んでいる。

 モバイルで何ができ、どんなリターンが得られるかを図る実験的なフェーズから、ビジネス目標を明確にモバイルに課す時代に突入した。

 今回は、ソーシャルメディアの拡散性を活かしたコミュニケーションを考察する。また、モバイルというコミュニケーションジャンルをさらに進化させる新たなコミュニケーションディバイス「ウェアラブル」についても少し触れる。

モバイルチャネルの位置付け

 マーケティングコミュニケーションを策定する上で、最も重要なのは、チャネル選定だ。消費者が最も感度が高いチャネルとタイミングを選定することが、費用対効果という点で大きく影響してくるからだ。

 適切なチャネルと適切なタイミングで、その瞬間の消費者のインサイトに合致したクリエイティブを展開すれば、高いリターンが得られる。

 従って、コミュニケーションを設計する際に、モバイルで何ができるか、という起点で策定するのではなく、モバイルはどのような目的で、そして、どのようなマインドセットで利用されているのかを起点として策定することが好ましい。

 特に、ソーシャルとモバイルをキーとしたキャンペーン展開の策定では、こうしたアプローチが成功を左右する。

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