第8回 日本をマーケティング先進国にする2つの強み【連載】日本の未来を切り拓くBtoBマーケティング(1/2 ページ)

日本国内でのマーケティングが実績を上げ始めると必ず言われることが、「同じ仕組みで海外のマーケティングはできますか?」ということです。答えはもちろん「Yes!」です。

» 2013年03月19日 08時45分 公開
[庭山一郎,シンフォニーマーケティング]

 最終回は、日本のBtoB企業のグローバル戦略におけるマーケティングについて書いてみようと思います。

 弊社のクライアントでも、日本国内でのマーケティングが実績を上げ始めると必ず言われることが、「同じ仕組みで海外のマーケティングはできますか?」ということです。答えはもちろん「Yes!」なのですが、実は日本の本社主導で海外マーケティングをやることは、それ程簡単ではないのです。

変てこな税制

 理由の1つは日本の変てこな税制です。日本の税法では海外の現地法人のマーケティングを日本本社がサポートすると、その費用は寄付と同等に扱われることがあります。その主旨は、本来その海外子会社が負担すべき費用を日本本社が肩代わりするのは「利益を供与」したことになり、これは「寄付」だというのです。国内でメーカーが自社製品を拡販する目的で販売代理店を支援するマーケティングを展開した場合、その費用は全額経費として認められますから、これはとてもおかしな話です。

 日本で上場しているような大きな企業であっても、米国を除く海外子会社は比較的小規模で運営されていることが多く、例えば、台湾は日本人5人と現地採用20人、シンガポールは日本人3人を含む20名、欧州はロンドンに日本人7人と現地採用20人の27名で全欧州を見ている、というようなケースが多いのです。

 この場合、海外子会社は営業所として機能しますから、研究開発も製造もしません。セールスと納品、そして代金回収とメンテナンスだけならばこの陣容で対応できますが、マーケティングをするリソースはないのです。その国でしっかりシェアを確保しようと考えれば日本の本社主導でマーケティングをするしかないのですが、この税制の問題でストップが掛かることが多いのです。

 これが日本企業がグローバルのハブ機能を米国やシンガポールに移そうとしている1つの理由ですが、税制はどうであれ、現地子会社にマーケティングをする余力がない以上、日本本社がサポートしなければならないと私は考えています。

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