「売れない原因」を探すことからマーケティングの旅は始まります。営業スキルなのか? 価格なのか? 流通チャネルなのか? 今回は売れない原因を突き止める方程式を解説します。
マーケティングが「売れる仕組みを作ること」であるなら、売れない原因を突き止めることも大切な仕事です。私が所属するシンフォニーマーケティングでは20年前から以下の方程式を使ってチェックしています。
売り上げ = 案件数 × 決定率 × 案件単価
この方程式には2つのポイントがあります。
1つ目は「1つの変数を上げるだけで効果は出る」ということです。
企業は目的変数である 「売り上げ」 を作りたい、あるいは思ったように上がらなくて困っています。ですから、この方程式を示すと、3つの説明変数それぞれに担当を付けて、同時に全部を上げようと考える人がいるのです。私の経験ではそんなことをする必要はないし、もし3つ同時に上げることに成功したら、それが製品にせよ人にせよ納品が間に合わないと思います。
説明変数同士の関係は「積」、つまり掛け算ですから、1つの説明変数を上げるだけで十分にレバレッジ(てこ)が効いて売り上げを上げることができるのです。
もう1つのポイントは、「どの説明変数を上げるにしても、そのことによって他の変数を下げてはいけない」ということです。例えば案件数を増やす目的で「案件の定義」を緩くすれば、決定率が低下します。それぞれの定義を変更してしまえば意味がないのです。また手っ取り早く売り上げを上げようと案件単価を上げれば、決定率が激しく低下し、悪くするとゼロになるはずです。掛け算ですからゼロがあれば答えはゼロにしかなりません。
私はこの理由で案件単価を上げることは極力避けるようにしています。
となると、残りの2つの変数、つまり「案件数」か「決定率」のいずれかを上げることで売り上げを上げなければなりません。
第1回 世界を見れば日本の現在位置が見えてくる
第2回 設計図のないビル工事 〜パッチワークでは結果は出ない〜
第3回 売れない原因を突き止める方程式
第4回 「マーケティングの漏斗」の必要性――案件化率の高いアポイントを営業へ供給するために
第5回 SFAの得意技は「営業案件のプロセスマネージメント」
第6回 マーケティングを強化するための組織と人選
第7回 BtoBマーケティングの効果測定と評価――お勧めのKPIはCPLとCPO
第8回 日本をマーケティング先進国にする2つの強み
第1回 「見込み客」が、「こっちを振り向いてくれる」瞬間を見極める
第1回 マルチチャネルキャンペーンの効率的な統合管理と実施事例
第1回 なぜ、今、インバウンドマーケティングなのか
第2回 インバウンドマーケティングの全体像を捉えるCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.