各拠点が持っている営業案件を統合管理し、失注率を減らし、受注決定率を上げるために、SFAほど強力な武器はありません。しかし、非常に大きな問題があります。SFAには案件を作る機能はないのです。
第4回 「マーケティングの漏斗」の必要性――案件化率の高いアポイントを営業へ供給するためにはBtoBの2つの漏斗と、その上の漏斗である「マーケティング」について説明しました。そこで今回は下の漏斗である「SFA(Sales Force Automation)」の説明をしたいと思います。
もしあなたの会社が導入したSFAが、売り上げの向上に貢献していないとしたら、「運用の設計」に誤りがある可能性が高く、多くの場合その原因は「SFAを正しく理解していないこと」にあります。
SFAを導入する企業に対して「導入して何をやりたいのですか?」という質問をすると70%近い企業が「マーケティング」と回答します。これはとても不幸なことです。機械にもアプリケーションにも得意/不得意があり、SFAはマーケティングが得意ではないのです。
もし、競走馬のオーナーになってダービーで優勝したい、と考えた人が間違ってロバの子供を買ったとしたら、たとえどんなに努力しても、腕の良い調教師にお願いしても、出場どころかレースに登録することもできず、失望することになるでしょう。もちろんロバが悪いわけではありません。種類と役割が違うのです。子供の時には似て見える同じ4本足の家畜でも、サラブレッドとロバでは得意技が違います。荷物を背負って長い旅をするならロバの方がはるかに役に立ちます。おとなしくて扱いやすいという特徴もあります。逆にサラブレッドは速く走る以外は何もできない動物です。神経質で扱いにくい上に、他の種類の馬と比べても足が細くて力がありません。でもダービーにはサラブレッドしか出場できないのです。こうした比喩で話すと、馬鹿馬鹿しいと思われる方も多いでしょうが、実際にこの見分けがつかなくて間違った選定をしている企業が多いのです。
SFAを導入して1年が経過した企業の担当者のぼやきを聞けば、SFAを理解して導入したか、誤解して導入したかがわかります。
以下のぼやきは基本的に「間違えてロバを買った人」の嘆きです。
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