日本のアドテクノロジー企業の相関関係が分かる「広告テクノロジー業界マップ」のモバイル広告版を紹介します。
「広告テクノロジー業界マップ」第2弾は、日本市場の中でもひときわ関連企業のプレイヤーがひしめきあい、カオスと化している「モバイル広告」編です。スマートフォンが普及し、モバイル広告市場が拡大する一方、モバイル広告を支えるアドテクノロジー環境には多くの課題があります。
2012年3月に発表されたMM総研レポートによると、2012年3月末のスマートフォン契約数は2522万件で、フィーチャーフォンを含む端末総契約数1億1232万件のうち、スマートフォンの契約比率は22.5%、2014年度末にはスマートフォンの契約数が過半数になると予測しています。また、スマートフォンを使う人が増える中、消費者のメディア接触パターンにも変化が見られます。博報堂DYメディアパートナーズの「メディア定点調査2012」によると、携帯電話(スマートフォン含む)からのインターネット接続時間は40.4分と、2008年から4年間で2.3倍以上にも媒体接触時間が増えています。
2011年度のモバイル広告市場は、フィーチャーフォンからスマートフォンへの転換期ということもあり、成長が一時的に鈍化しましたが、2012年度にはスマートフォン広告市場が前年度比1.8倍に拡大し、2016年度には2011年度比5.6倍の2010億円まで成長すると予測されています(富士キメラ総研「2012 ブロードバンドビジネス市場調査総覧」)。
と、ここまではモバイル広告市場の伸びを実感できますが、PCのディスプレイ広告と比較すると、広告市場拡大の起爆剤となるターゲティング技術やRTB(リアルタイム自動入札)などのテクノロジーへの対応には、まだまだ多くの課題があります。米国では、モバイル広告のRTB対応がディスプレイ広告に比べて3年遅れているそうです。この現状をIDCの「Real-Time Bidding in the United States and Worldwide, 2011–2016」では下記のようなポイントが原因だと指摘しています。
Cookie:iOSなどのモバイルブラウザがCookie非対応であるため、ターゲティング配信が難しい
Sandbox:Sandboxと呼ばれるスマートフォンアプリのセキュリティ制限により、ターゲティング型の広告配信プラットフォームとの接続が難しい
モバイル広告データの正規化:スマートフォンのブラウザやアプリで表示される広告のインプレッションの定義がスタンダード化されていないため、RTB上での取引に支障がでている
回線スピード: RTBにおいて広告が表示されてから入札までのスピードは、30 ms(0.03秒)が理想的、50ms(0.05秒)はクリアしなくてはならないとされているが、現状の2G/3Gの回線では実現が難しい
2012年は広告テクノロジーのモバイル対応やアドテク企業の再編などでモバイル広告市場の基盤が整い始めた年です。2013年はモバイル広告市場の成長が期待できそうです。
※この記事はExchangeWire Japanの「日本版、広告テクノロジー業界マップ2012 (モバイル広告)」の原稿を一部修正して転載しています。
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