ビッグデータとは単なるデータの蓄積ではなく、既存のメディア、デバイス、あるいはサービスの垣根を取り払ってそれぞれを連携させ、新たなイノベーションを生み出す、いわば「触媒」なのである 。
「第2回 ビッグデータの本質は顧客の分析に他ならない」では、ビッグデータとオウンドメディアの接点についてお話ししました。ビッグデータ基盤に回収した顧客の購買行動履歴を分析し、顧客をセグメント化することで、顧客1人ひとりに最適化した施策を継続的に実施して効果を上げるモデルです。オウンドメディアマーケティングはユーザーを自社サイトの会員に取り込んで会員に対して直接的、かつ継続的に関係性を築くいわばリピート施策のための方法論と言えます。
しかしながら、会員を対象とする施策ではそもそも母数が限定されていますから、オウンドメディアの外に広がるインターネットの大海に対してもアプローチする手段が必要で、一般的にはペイドメディア(広告)を使って自社と商品の認知を広げ、自社の会員化や商品の購買へと誘導することになります。
オウンドメディアとペイドメディアという従来からある、これら2つのメディア間には大きな垣根が存在していて、自社の会員に対するリピート施策と、非会員に対しての新規誘導のための広告施策はそれぞれ別モノとして切り離して設計されるのが常でした。
ところが、昨今の技術の進歩は徐々にではありますが、その垣根さえ取り払いつつあります。メディアが技術に依存するものであるなら、技術の進歩はおのずとメディア自体の変容を促し、メディアの守備領域を崩して相互につながっていきます。3回連載の最終回である本コラムでは、ビッグデータが支えるオウンドメディア、ペイドメディアとその接点についてお話したいと思います。
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