AIの回答だけで満足してそのまま離脱してしまう、いわゆる“ゼロクリック問題”が深刻化している。マーケターは今「AI対策」に躍起になっているが、その取り組みは本当に意味を成しているのだろうか。
“ググる”という動詞になるほど、私たちの日常生活に深く根ざしている検索行動。AIの急速な普及によって、その体験が大きく進化していることに気づいている人も多いだろう。
Googleであれば、検索結果の最上部に、AIが膨大なリサーチを代行して、複数サイトの情報を統合・要約してくれる「AI Overviews」や、気になる事柄をチャット形式で対話しながら深掘りできる「AIモード」を提供している。Googleによれば、AIモードの月間アクティブユーザー数は10億人を超えるという(※)。
※AIモードの画面から検索を利用したユーザーの数
Googleの調査によると、日本のユーザーの73%が「AI OverviewsやAIモードを使うことで、より早く意思決定ができるようになった」と回答している。多くのユーザーにとっては、検索の利便性が劇的に向上しているというわけだ。
しかし、企業サイトを運営するビジネス視点に立てば、この変化を手放しで喜ぶことはできない。従来であれば、検索結果から自社サイトを訪れていたはずのユーザーが、AIの回答だけで満足してそのままページを離脱してしまう、いわゆる“ゼロクリック問題”が深刻化しているからである。
このようにAIによって検索の在り方が大きく塗り替えられていく中で、企業は今後どう立ち回るべきなのか。最新のAI検索の動向を探る。
本記事では、Googleが7月3日に開催したメディア向け勉強会の内容を紹介する。
現在多くのマーケターは、AI検索に自社のコンテンツを表示させる方法を、躍起になって探している。その取り組みは本当に意味を成しているのだろうか。Googleの検索広告部門のディレクターであるBrandon Ervin氏(Google Director, Product Management )は、AI対策で不要な取り組みを5つ紹介した。
……AIはWeb上の議論を抽出するものの、高品質なコンテンツを優先するランキングやスパム対策システムが基盤となっている。
……Google検索は文脈や同義語を容易に理解するため、特定のキーワードやAI向けの言い回しに執着する必要はない。
……複雑で複数のテーマにまたがるページ内容もGoogleのシステムはそのまま理解できるため、不自然なコンテンツの分割(チャンク化)は不要。
……Google検索のリッチリザルトには有効なものの、特別なschema.org(構造化データの世界共通規格)のマークアップの追加は不要。
……コンピュータが解読可能なファイルやAIテキストファイル、マークアップ、マークダウンを新たに作成する必要はない。
「私たちのAI機能の裏側にあるコアランキングシステムは従来のままだ。そのため、従来のSEOのベストプラクティスは、これまでと変わらず、極めて重要である」と強調した。
さらにErvin氏は、これらをやめる代わりに「Unique・Helpful・Agent-Ready」なコンテンツづくりに注力すべきだと強調した。
(1)Unique
……自社にしかない“独自の内容”を全面に出す。具体的であることが重要。誰にでも書けるようなコモディティ化した情報はいらない。レビューや実体験、あるいは専門的な見解こそ共有すべきである。
(2)Helpful
……ユーザーにとって最も役立つコンテンツを提供することに集中する。検索ロボット(bot)のために文章を書いてはならない。ユーザーと同様にAIは画像や動画も重視して、優れたコンテンツを全て結果に取り込んでいく。
(3)Agent-Ready
……コンテンツはうまく構造化され、誰もが使いやすく、探しやすいように整理されている必要がある。ユーザーが一目で「何がどこに書かれているか」を理解できるようにしておけば、AIもそれを正しく理解できる。Googleが小売業者やEC事業者を対象に提供しているショッピング広告プラットフォームであるMerchant CenterやGoogleビジネスプロフィールの情報が、常に正確で最新のものか確認しておこう。
要するに、ちまたのうわさをうのみにして、裏側にAI向けの専用ファイルを仕込むような小手先のハッキングに溺れることなく、人間のユーザーにとって有益な情報を正しく届けることに集中すべきということだ。
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