広告会社は変わらなければならない。では、いったいどのように変わるべきなのか? 大手広告会社 博報堂が「ビッグデータ」「マーケティングROI」「プラットフォーム化」など6つの軸で次世代の広告会社像を提示する。
「ITmedia マーケティング」をご覧の皆様はマーケティング関連職の方が中心だと思われる。我々と同業の広告会社の方はもちろん、マーケティング支援会社や広告主の方もいらっしゃるだろう。そんな方々に「広告会社は変わる」と書くと、「またー」と冷笑されるかもしれない。あるいはオオカミ少年と言われるかもしれない。しかし、ちょっと待って欲しい。
スマートデバイスを中心としたテクノロジーの進化がもたらす生活者のメディア環境の大変化(ソーシャルメディアの浸透、スマートデバイスの普及、ソーシャルゲームの急速な発展、etc……)や、これらに関連して発達する米国発のアドテクノロジーの急速な進歩(行動履歴をもとにしたターゲティング広告の精緻化やパフォーマンスメディアの急速な発展と普及)に対して、「広告」が(あるいは「広告会社」)が変わらなければ、生活者への発信力は低下し、クライアントに期待される「効果」は維持できなくなる。
有り体に言うならば、我々は「広告」や「メディア」という商品を売る「広告会社」である一方で、クライアントの期待に応える効果を売り続ける「マーケティング支援会社」という側面も持っている。「効果」は我々にとって生命線であり、それが低下することは決して許されない。生活者の大きな変化が進行するこの「瞬間」は、まさに我々にとって1丁目1番地。待ったなしの状況なのだ。
米国のドラマ「MAD MEN」(注1)の時代にあこがれるが、もはやあの時代には戻れない。人々は、既存マスメディアからの情報をソーシャルメディアで確認し、評価し、広める時代なのだ。伝説的なドン・ドレイパー(注2)のひらめきは、2012年の環境下において、必ずしも「効果」を導けるとは限らない。
アメリカAMC製作のテレビドラマシリーズ。1960年代のニューヨークの広告業界が舞台。「MAD MEN」はマディソン アヴェニューの広告マンの通称
「MAD MEN」の主人公。スターリング・クーパー広告代理店の敏腕クリエイティブ・ディレクター
今回、この連載を通じて、変わり続ける博報堂の一端をご紹介しながら、次世代の広告会社の姿を提示したいと思う。
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