前編では、対象事業をマーケティングROIの視点で分析するための考え方を述べた。後遍ではマーケティング戦略のキードライバーを開発するプロセスを明確にする。
「顧客行動課題」「顧客行動教訓」を捉えることができたら、それらの背景にある「顧客意識」を探ることによって「課題/教訓の本質」を突き詰めていく。ここで言う「課題/教訓の本質」とは、
企業が理想とする顧客行動が創り出されなかった/創り出された本当の理由
を意味する。企業が理想とする「顧客行動」が創り出されなかった(創り出された)のには必ず理由があり、その理由を解明するということだ(図12)。
例えば、サンプル品請求者の離脱が増加したとしよう。この場合における「顧客行動課題」は、サンプル品請求者の「引き上げ率」の低下となる。では、なぜサンプル品請求者は次に本商品を購入しなかったのだろうか。その本当の理由こそが、「課題の本質」ということになる。逆に、次に本商品を購入した本当の理由は、「教訓の本質」となる。
サンプル品請求者の「引き上げ率」の低下の場合、考えられる「課題の本質」としては、
などが挙げられる。
このように、同じ「顧客行動課題」であっても、「課題/教訓の本質」の分析を進めると、実にさまざまな可能性が見えてくることが分かる。
「課題/教訓の本質」を捉える方法として、有効なのは“顧客調査”である。ここで追求しておきたい主な「顧客意識」は、主に次の3点に整理できる(図13)。
各顧客ステージの「顧客行動」の背景にある「顧客意識」では、「思い立ち(想起)」から「興味」「比較検討」「初回購入」までの顧客獲得の各ステージと、その後の「歩留まり率」「年間購入回数」「購入単価」などで構成される顧客育成の各ステージにおいて、「顧客行動」の変化の背景にある「顧客意識」について調査する。
ブランドスイッチの背景にある「顧客意識」では、自社ブランドから他社ブランドへ流出した顧客と他社ブランドから自社ブランドへ流入した顧客の背景にある「顧客意識」について調査する。
ブランド選定重視点に関する「顧客意識」では、ターゲットが商品を購入する際に重要視している「ブランド選定項目」について調査する。
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