第1回 進化するアドテクノロジー――「枠から人へ」の変化【連載】これで分かる! アドテクノロジー入門(1/2 ページ)

アドテクノロジーは誰のために、どんな目的で生まれてきたのか――。モーションビートのチーフプロデューサー 堺真幸氏によるアドテクノロジーの基礎解説。第1回はアドテクノロジーの技術的進化を概観する。

» 2012年08月10日 08時00分 公開
[堺真幸,モーションビート]

アドテクノロジーは誰のため?

 最近特に目にする機会が増えた“アドテクノロジー”。それは一体どのようなものでしょう? アドテクノロジーは日本語にするとその名の通り、“広告技術”となります。これは具体的にどのような技術を指すのでしょうか。アドテクノロジーを紐解いていくにあたって重要なことは「その技術が誰のため」に、「どのような目的で存在しているのか」ということです。

 広告を取り巻くプレイヤーは基本的に以下の三者です。広告を出稿する「広告主」、広告を受け取る「ユーザー(生活者)」、その両者を媒介する「メディア」です。

 これら三者の思惑を簡単にまとめると以下のように整理できます。

  • 広告主:効率的に自社/製品/サービスの認知/購買を促進したい(同じ効果であれば費用は安ければ安いほどいい)
  • メディア:ユーザーを増やし、媒体価値を高めて、広告収益を上げたい
  • ユーザー:自分が興味のある情報しか欲しくない。ノイズ(広告)はできるだけ受け取りたくない(間接的には、閲覧した広告に対してアクションをすることで、メディアが提供するサービスを無料で利用できるという面もあります)

 広告主はお金を出してメディアに広告を出稿するわけですから、広告効果(ROIなど)を重要視します。”効果”が一定の時は、必然的に広告コストが安ければ安いほど良いということになります。ここで言う”広告コスト”とは、メディアから見た場合、広告売上を指しますから、コストを下げたい広告主と売上を上げたいメディアの思惑は本質的には相反します。

 一方でユーザーは、広告に対しては受け身であるため、広告が自身と関係のないノイズになってしまうことを嫌います。ユーザーは興味のある広告しか見たくない、広告主はできるだけ安価なコストで、広告訴求効果の高いユーザーにメッセージを届けたい、メディアは多くのユーザーにコンテンツを表示することで広告売上を上げたい、と、ここでもユーザーと広告主、メディアの思惑はすれ違う要素を孕んでいます。

 アドテクノロジーの進化は、言ってみればこれら広告主/メディア/ユーザーそれぞれの思惑をうまくバランスしながら、市場全体を成長させていく仕組みの進化に他なりません。

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