リクルートSUUMOのFacebookページ運用についてインタビューした記事です。効果算出の考え方だけではなく、ブランド戦略の中でのソーシャルメディアの位置づけ、TVCMとの連携の仕方などを聞いています。今回は後篇です。
[GaiaXソーシャルメディア ラボ(以下、ガイアックス)井出] SUUMOでは、Facebookページの開設が他社よりかなり早いタイミングだしたが、それはソーシャルメディアの運営は先行者メリットを得やすいと感じていたからですか?
[リクルート(以下、リクルート) 田島氏] はい、その通りです。Twitterがブームになった時から、ソーシャルメディアは早く始めるほど、先行者メリットがあると感じていました。例えば「ナレッジの蓄積」は大きなメリットです。ソーシャルメディアは自分達で運営しないと知見が貯まりません。書籍やネット上などで公開されている情報を得るのもよいですが、そこに出ている情報が全てのナレッジではないですし、本は出版のスケジュールの点から最先端の情報が集まっているとは言い難い。自分達で試行錯誤を繰り返し、効果を検証しながら戦術をブラッシュアップしてゆくことが知見を貯める上では必要です。カスタマーがどんな内容に反応してくれるのか、どんなコミュニケーションなら返事をくれるのかなど、インタラクションを生み出す細かいノウハウは自分たちで体験しているからこそわかる内容です。
また、「ファン数の伸び」という点でも先行者メリットが大きくありました。早く始めるほどそのソーシャルメディア(今回で言うとFacebook)の成長に合わせ、ファン数も自然と伸びて行く傾向にあります。早く始めたことでSUUMOのFacebookページは企業事例としてさまざまなメディアで紹介されましたし、他企業ページが少ない状態だったので1人ひとりのファンにリーチしやすく、結果的にクチコミでファンは増加してゆきました。
[ガイアックス 井出] SUUMOのファンの獲得方法や方針について教えてください。
[リクルート 田島氏] 前述のように、SUUMOではFacebookページの目的やターゲットが明確になっており、単純にファン数を増やしていけばよいとは思っていません。
今後SUUMOの利用する可能性がある方との関係性を築くことを重視しています。ファンの数と合わせて関係性の質が大事です。ファンになっていただいても、その後にエンゲージメントを築かなくては意味がありません。キャラクターの「スーモ」やその仲間たちをフックにまずは関係性を作り、日々のウォールでのコミュニケーションを通じてエンゲージメントを高めたいと思っています。昨今のFacebookは参画企業も増えましたし、Facebookの仕様変更の影響もあり、ファンの自然増が難しくなりました。いいね! 数 、コメント数、シェア回数などのインタラクション数と新規ファンの増加についても相関が見えづらい。また、Facebook広告は、単純に広告出稿量を増やしたからといって、新規ファン数を増やせるものではありません。このような背景もあり、コンテンツの種類を増やしたり、小さなキャンペーンを実施するなど、既存のファンの方との関係性を活性化しながら新しいファンを増やせないかと日々検討しています。
[ガイアックス 井出] SUUMOでは、Facebookページの運用効果を定期的に社内にフィードバックしているとのことですが、どのような視点でFacebookページを効果測定していますか。
[リクルート 田島氏] SUUMOのマーケティング施策全般に言えるのですが、「SUUMOサイトの利用経験率の向上」をKGIとしています。その構成要素としてSUUMOブランドへの「認知度」「好意度」「利用意向度」の向上をあわせて確認しています。Facebookページの運用でも同様で、「SUUMOを利用してみたことがある」という人を増やすことがゴールです。ネットリサーチを使った利用経験調査で、どれくらい利用経験率が上がったかは、ログなどのKPI指標とは別に、CM投下時に定量調査を行い、定点的に確認しています。
その結果、SUUMOサイトの利用経験の有無にかかわらず、SUUMOのソーシャルメディアに接触している人は、していない人よりも「好意度」「利用意向」が高いという結果が出ています。
ブランドイメージも同様に、SUUMOサイトの利用有無に関わらずSUUMOのソーシャル施策に接触した人は、していない人よりも各ブランドイメージ項目が高いという結果が出ています。
さらに潜在層では「好意度」が向上するだけでなく、SUUMOサイトの「利用経験率」が向上する結果を得られました。潜在層にアプローチした統合ブランドコミュニケーションが、検討層をも動かすという結果に結びついたのです。潜在層と継続的にコミュニケーションを取ることができ、マス/Web広告を有機的に連携させることで検討層をも動かすことのできるソーシャルメディアの活用は、今後も積極的に行っていく予定です。
※本記事はリクルートSUUMOから学ぶ、Facebookの使い方5つのポイントをITmedia マーケティング用に編集し直したものです。
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