2011年3月11日午後――。東日本大震災発生後、ヤフー・トピックスはどのように動いたのか。災害発生時におけるニュースサイトの役割を考える。
「まず、落ち着いて地震情報をトップにあげましょう!」
2011年3月11日午後、緊急地震速報の音がフロアに響く中で、こう言ったことを覚えています。東日本大震災の発生。慌ただしく作業に取り掛かりました。
「宮城北部で震度7 大津波警報」
「都内でも火災、交通影響も」
次々と配信されるニュースを更新する一方で、トピックス編集部が入居する六本木のミッドタウン・タワーの上層階で火災が発生したとの情報があり、一時的に「全館避難」をしなければならない事態になりました。
こういった場合にどうするか。連載の「第1回 13文字で伝えるニュース――ヤフー・トピックス」でも少し触れましたが、大阪にも拠点があるので、大阪のメンバーが更新を続行。それでも人手が足りないので、避難した東京のメンバーはノートPCからリモートで作業を試み、自宅が近いメンバーは走って帰宅し、自宅PCから更新を行いました。
その後、全館避難が解除され、フロアに戻ることができましたが、トピックス編集部にとってこれほどの大災害は当然ながら初めての経験でした。もし大阪に拠点がなく、リモートで更新する体制も整備されていなかったら、更新はまったく止まっていたかもしれません。
冒頭の「地震情報をトップにあげましょう」とは何を意味するのか。通常、地震が発生してからニュース記事が配信されるまで数分の「時差」があります。地震発生後、記事が配信される前に1秒でも早く伝えたい。
そこでまず情報の早い「Yahoo!天気・災害」や気象庁のページをリンクして、「地震情報」という見出しでトピックスを掲出することにしています。その後、配信された記事や公的機関からの情報などを追加し、災害情報のリンク集としてトピックスを作りこんでいきます。
地震や災害は前触れなく襲って来ます。緊急対応についてはマニュアル化をしていますが、焦ったり、手順が頭に入っていないと素早い対応ができません。いざという時にもたつかないよう、定期的に「災害対応訓練」を行っています。これは震災発生前から準備していることです。
また、震災後には大阪拠点の人員を強化し、東京で更新ができない状況になっても、更新を続けられる体制を作っています。
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