第4回 「読者は国民です」(キリっ という新聞にターゲティング戦略はない【連載】走りながら考えるメディアマーケティング

なぜ日本の新聞にはターゲットという概念が存在しないのか? 国家権力との関係を軸に、新聞が辿ってきた歴史を概観しながら、ターゲット不在のメディアが成立した背景を考える。

» 2012年09月06日 12時00分 公開
[藤代裕之,ジャーナリスト/ブロガー]

 「顧客を想定したら当然の結果」「日本の人口比率に合わせたら当然」――。新聞が自ら高齢化しているのではないかという前回コラム「『若者の新聞離れ』ではなく『新聞の若者離れ』」の指摘に対して「真っ当」な反応をいただいた。しかし、ターゲットとしている読者に合わせたらこうなった……というわけではない。友人に新聞関係者がいるなら聞いてみて欲しい。「ターゲットは誰か?」と。多くは「ターゲットって何?」と返答に詰まり、言葉の意味を聞かれることすらあるだろう。「国民(県民)に決まっているじゃないか」(キリっ と返されるかもしれない。

 なぜ新聞にはターゲットという概念が存在しないのか。それは歴史を振り返れば分かる。

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