企業のオリジナルコンテンツは、生活者にとって有益な情報コンテンツとなる。オリジナルコンテンツは、企業とユーザーをつなぐHUBとなり、コミュニケーションに必要な「キャッチボール」状態を作り出すのに欠かせない。
本連載は「オウンドメディアコミュニケーション 成功の法則21」(ソフトバンククリエイティブ)をコンパクトに再編集したものです。
第2回は、“法則5.「理解する」ことからコミュニケーションは始まる”について解説しました。コミュニケーションには情報の受け手と送り手の相互理解が不可欠です。ユーザーだけではなく、自社についても理解を深め、オウンドメディアを通じて、どんな情報(コンテンツ)をどのように伝えることができるかを把握しておくことを確認しました。
ここでのポイントは「企業側が何を伝えたいか」ばかりを重視しないこと。企業側の「何を伝えたいか」は、もちろん欠かせない要素ではありますが、この点ばかりを重視するがあまりに、ユーザー視点での「伝える」内容についての検討が希薄になりがちです。「企業視点」で物事を考えるという癖は、コミュニケーションにおける落とし穴というべきものであり、オウンドメディアコミュニケーションにおいてもコミュニケーションロスを生む最大の原因となってしまいます。そのため、企業視点で「何を伝えたいか」を考えるのと同時に、同じような優先順位でユーザー視点の「伝える」内容を検討するようにしましょう。
特に企業サイトのように、多種多様なステークホルダーがアクセスしてくるメディアである場合は配慮が必要です。企業側としても、多くの「伝えたい」内容があり、そこにはそれぞれの主張があります。一方で、ユーザー側も多種多様であり、知りたい内容やニーズもさまざまです。お互いを網羅的に把握することができず、どちらか一方の視点のみで構成されてしまうと、そこにコミュニケーションロスが発生することになります。特に危険なのは、企業視点での「伝える」が優先されてしまう場合です。
例えば、多くのユーザーは一方的な押し売りや広告を嫌う傾向にあります。こうした流れのなかで、企業はむしろ「選ばせる」という姿勢から、「選んでもらう」姿勢が問われるようになってきました。企業の一方的なPRという視点ではなく、ユーザーの比較検討において、必要な情報を提供するという視点が重要なのです。製品やサービスについて正しく情報を提供することは、企業において「伝える」ことの基本となりますが、そこから「選んでもらう」には、ユーザーにとってプラスアルファの有益な情報提供が必要になることを理解しましょう。
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