第2回 ソーシャルメディアの”感情”分析で「ブランティングの第3の波」を乗りきる【連載】今度こそマスターするぞ! データ分析(1/2 ページ)

ソーシャルメディア上のデータを分析して、失業率増加のタイミングを予測する国連。企業は膨大な会話データをブランディングに活用する。いまやソーシャルメディアは分析対象の宝庫である。SAS Institute Japan マーケティング本部長 北川裕康氏が最新事例を交えてソーシャルメディア分析の最前線を紹介する。

» 2012年07月25日 08時00分 公開
[北川裕康,SAS Institute Japan]

企業のブランドはどのように作られるのか?

 ソーシャルメディアは“Digital World”に存在します。ソーシャルメディアを通じて行われる会話や感情表現はすべてデジタルデータですので、ソーシャルメディアというのは、とてもデータ分析に向いている、といえます。Facebookなどの代表的なソーシャルメディアはデータアクセスのためのインターフェイスを有償/無償で公開しているため、最近では企業が実にさまざまなデータを活用できるようになっています。

 数年前のことです。企業のブランドについて悩むことがあり、最新情報を得ようと思って、Amazonでブランド関連の書籍を探してみました。しかし、新刊で私の悩みに答えるような書籍は見当たらなかったため、ブランドの大家であるデビッド・アーカー氏のWebサイトをチェックしました。その中の1つの記事を読んで、「ブランド、あるいはブランディングについての新刊書籍があまりない」原因が見つかった気がしました。

 アーカー氏曰く、ブランドが形成されるプロセスに関しては現在、「第3の波」が来ているそうです。

 第1の波は、広告によってブランドが作られていた時代です。印象的な広告がたくさんありました。実際、その当時の製品をいくつも思い出すことができます。

 第2の波はインターネットがもたらしたもので、企業と消費者の対話からブランドが作られた時代です。企業と消費者がオンラインでコミュニケーションを交わす環境が整ったことで、このことが可能となりました。

 そして、第3の波。現在は、“企業の蚊帳の外”で行われるコミュニティーの会話によってブランドが作られる時代だそうです。

 ソーシャルメディアとは、コミュニティーであり、また、コミュニケーション手段でもあります。現代はこのような新しいメディアを通じて企業のブランドが形成される時代ですので、コントロールをするのは非常に難しい。マーケターにとっては厄介な大波が来たものです。ただし、ソーシャルメディアをマーケティングでうまく活用できれば、逆にブランド価値の向上や顧客満足度の向上に繋げることができます。

 ということで、今回は、ソーシャルメディアとデータ分析の融合「ソーシャルメディア分析」について、最新事例を交えて解説をします。

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