ビッグデータがマーケティング分野に及ぼす影響を、先行事例をもとに解説。例えば、クーポンの償還率が10%から25%に改善されたり、顧客の行動データを分析する時間が11時間から11秒に短縮されたり。ビッグデータの分析によって、マーケティング分野にイノベーションをもたらすことが証明されている。では、そのような能力を持つ企業とは?
ビッグデータ! さまざまなメディアでも取り上げられ、その言葉はすっかり認知されたと思います。しかし、多くの皆様が、クラウドに続く、ITの単なる流行言葉で、自分には関係ないと考えていらっしゃるかもしれません。実際「ビッグデータ時代の△△△」とITベンダーの宣伝でよく使われています。“□□□時代”というのは、だいたいは□□□をうまく使いたいというマーケターの心理の現われです。
しかし、ビッグデータは一部の顧客ではすでに先行利用されているリアルな技術です。アナリティクス(分析)を組み合わせることで、企業の革新的な武器になり得ます。通常、「ビッグアナリティクス」、または「ビッグデータアナリティクス」と言われます。今回は、マーケティング分野におけるビッグアナリティクスの応用を考えたいと思います。
一般的にビッグデータは、以下の3つの「V特性」を持つと言われています。
そんなビッグデータも、何かの目的に利用しなければ、「0」「1」しか意味のない単なるストレージ食いの存在にしか過ぎなくなります、極端に言えば。しかも、大食いです。ですから、ビッグデータを(顧客や市場を)「知る力」に変える何かが必要です。その「何か」がアナリティクスです。ビッグアナリティクスは、各種のデータタイプ(Variety)で構成されたビッグデータ(Volume)から、できるだけ多くの関連するデータを素早く(Velocity)取り出し、処理/分析し、第4のVとしての価値(Value)を創造します。
ビッグアナリティクスを可能にするITプラットフォームには、今までのITプラットフォームでは扱えなかったような大量のデータを高速に処理する能力が必要です。プロセッサの高速化に加えて、(ハードディスクに比較して圧倒的にアクセスピードが速い)半導体からなるメモリの利用(インメモリと呼ばれる)や、データを分割して複数のコンピュータで並行に処理する技術など、ビッグデータを高速処理するための情報技術の進歩によって、従来、アナリティクスの領域では扱えなかったビッグデータ処理が可能になったのです。
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