カスタマージャーニーマップを描き顧客体験の改善に役立てる上で必要なこととは何か。専門家に聞いた。
スマートフォンの普及は情報爆発に拍車を掛けた。人々は気になるものがあればいつでもどこでも瞬時に購入まで完結させることができる。こうした「パルス型消費」が当たり前になっている時代において、顧客理解の難易度は高まっている。
GartnerのアナリストでCX(顧客体験)を専門とするマイケル・チュー氏は「顧客について考えるのではなく顧客の立場で考えよう」と提唱する。そのためのツールとなるのがカスタマージャーニーマップだ。
カスタマージャーニーマップを描きCXの改善に役立てる上で何が求められるのか。チュー氏に聞いた。
――根本的な言葉の定義から確認させてください。そもそもCXとは何を指すのでしょうか。
チュー Gartnerのオフィシャルな定義では、CXとは「提供企業の従業員、チャネル、システムまたは商品とのインタラクションがもたらす1回の、または累積的な効果によって、顧客が得る認識や関連する感情」を指します。そして、顧客の期待を満たし、さらにそれを上回ることで顧客の満足度、ロイヤルティー、アドボカシーを高めることを目的とした顧客インタラクションの設計・対応のためのプラクティスがCEM(顧客体験管理)です。
――CEMの担い手は誰なのでしょう。
チュー 正解は一つではありません。CCO(Chief Customer Officer:最高顧客責任者)あるいは顧客担当バイスプレジデントがいる場合もあれば、グループで責任を持つ場合もあります。CMO(Chief Marketing Officer:最高マーケティング責任者)が担当することももちろんあります。それぞれの組織の構造によって担い手は異なります。
――CEMには何が必要ですか。
CEMに取り組むに当たってはツールが必要になります。以下の5つがそれに当たります。
これらのツールを使うことで、顧客をより深く理解することができるのです。
――顧客の声を収集した上でペルソナつまり顧客像を具体化してその行動をカスタマージャーニーマップに落とし込むのですね。
チュー 顧客にとって何が最善かを考えるためにはまずその顧客が「誰」なのか明確にしなければいけません。ペルソナは、自分の立場を離れ顧客の立場で考えるのに役立ちます。ペルソナはデータあるいは事実によって定義する必要があります。そうでなければ私たちはありもしないものを信じることになるからです。
――想像力を働かせるよりデータが大事であると。
チュー われわれがお客さまとともにペルソナに基づいてカスタマージャーニーマップを作ったら、本当にそれが正しいのか、一緒に検証していただいています。その際にデータとファクトで検証するのです。検証を重ねることで、より正確なカスタマージャーニーマップを描くことができるようになります。
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