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» 2019年09月05日 09時00分 公開

「5A」活用によるロイヤルマーケティング戦略【前編】:マーケティング4.0時代のカスタマージャーニー「5A」について (1/2)

フィリップ・コトラー氏の共著者が、『コトラーのマーケティング4.0』の核となる概念と最新のマーケティングトレンドを語った。

[水落絵理香,ITmedia マーケティング]

 マーケティング学の泰斗であるフィリップ・コトラー氏(ノースウエスタン大学ケロッグ経営大学院SCジョンソン特別教授)の著書『コトラーのマーケティング4.0』(朝日新聞出版)では、AIDMA(注)に代わるデジタル時代のカスタマージャーニーを「5A」のフレームワークで再定義している。5つのAが意味するものは以下の図の通りだ。

5A 5Aのフレームワーク(出典:トランスコスモス)

注:Attention(認知)、Interest(興味)、Desire(欲求)、Memory(記憶)、Action(行動)

 トランスコスモスは2019年5月より、デジタルマーケティングなどのアウトソーシングサービスにこの5Aの尺度を組み合わせた「5A LoyaltySuite」を展開している。これを記念して同社は2019年7月16日、共著者の1人であるイワン・セティアワン氏(MarkPlus Deputy CEO)を招いて講演会を開催した。本連載では同氏の講演から「5A」理論の詳細とマーケティングにおけるロイヤルティーの重要性、そしてそれを構築するための手法について前後編でポイントを紹介する。

イワン・セティアワン氏 イワン・セティアワン氏

ロイヤルティーと5A

 コトラー氏は2010年刊の『マーケティング3.0』(朝日新聞出版)で「人間中心のマーケティングがこれからのスタンダードになる」と説いた。2017年(原著は2016年)に刊行された『マーケティング4.0』ではデジタルテクノロジーの発達を念頭に、オンラインとオフラインの融合が進む中で多様化・複雑化するカスタマージャーニーを再定義した。ここで従来の「AIDMA」に変わる新たな行動プロセスとして提唱したのが5A(Aware:認知、Appeal:訴求、Ask:調査、Act:行動、Advocate:推奨)だ。

 5Aの大きな特徴は最後に「Advocate:推奨」が差し込まれている点だ。

 顧客の推奨が重要になりつつある背景には、成熟市場における成長の鈍化という、多くの企業が直面する難題がある。

 「現在、グローバル経済の成長率は3%以下。その中で新規顧客獲得を重視するのはもはや非合理的だ。経済成長が鈍化している中で新規顧客を奪い合うゼロサムゲームは消耗戦でしかない」とセティアワン氏は語る。

 新規開拓が難しいならば、既存顧客に頼るしかない。そこで求められるのがロイヤルティーの向上だ。ロイヤル顧客はより多くより高いものを買ってくれる。つまり収益性が高い。のみならず、周囲の人に自社の商品を推奨し、新規顧客を連れてきてくれる可能性が高い。

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