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» 2019年11月13日 13時00分 公開

「青本」訳者が語る:日本におけるカスタマーサクセスは「夜明け前」 これから乗り越えるべき3つの壁とは? (1/2)

日本におけるカスタマーサクセス推進の鍵は「期待値コントロール」と「日本人の特性を踏まえたアプローチ」にある。話題書『カスタマーサクセス』の訳者が語った。

[やまもとはるみ,ITmedia マーケティング]

 表紙の色から「青本」と呼ばれ、カスタマーサクセスの導入書として多くの支持を得ているのが『カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則』(英治出版)だ。

 訳者であるバーチャレクス・コンサルティング(以下、バーチャレクス)執行役員の辻 大志氏は同書冒頭の「訳者まえがき」において、カスタマーサクセスを「多くの企業にとって極めて深刻で緊急性が高く、もはや避けることのできない絶対的な命題」と位置付けている。

 CRMを事業ドメインとしてコンサルティングなどのサービスを提供するバーチャレクスは、顧客に寄り添い伴走者となることでその成果に貢献してきたという自負がある。いうなればカスタマーサクセスという言葉が登場する前からカスタマーサクセスに取り組んでいたというわけだ。そんな同社でも、「青本」に最初に触れたことで、自社の課題発見につながったという。

 本稿では、辻氏と共に同書の翻訳に当たったバーチャレクス執行役員・ビジネスインキュベーション&コンサルティング部長の森田智史氏が「ITreview2019」(2019年11月6日にアイティクラウドが開催)で講演した内容を基に、日本におけるカスタマーサクセスの現状とこれからの課題をまとめた。

森田智史氏

日本におけるカスタマーサクセスの現実

 青本によるとカスタマーサクセスは以下のような数式で表すことができる。

CS(Customer Success:カスタマーサクセス)=CO(Customer Outcomes:顧客の成果)+CX(Customer Experience:顧客体験)


 バーチャレクスではここにCA(Customer Advocacy:コミュニティー形成、ファン化、ロイヤルティー化)とCG(Company’s Growth:企業の成長)という2つの要素を加え、カスタマーサクセスを「顧客に最適な体験と成功を提供することを通し、顧客と共に自社も成長し続けられる関係を構築すること」と定義している。

カスタマーサクセスとは(出典:バーチャレクス・コンサルティング、以下同)《クリックで拡大》

 SaaSをはじめとするサブスクリプション型のビジネスが拡大したことで、日本でもカスタマーサクセスに注目が集まるようになった。森田氏によるとGoogleにおける「カスタマーサクセス」というキーワードの検索回数は2018年3月から2019年7月の間に約15.5倍に増えており、カスタマーサクセスへの関心の高まりがうかがえる。

 こうした流れの中、バーチャレクスはクラウドサービスのレビュープラットフォーム「ITreview」を提供するアイティクラウドとカスタマーサクセス領域での協業を開始している。2019年3月には両社で日本におけるカスタマーサクセスに関する実態調査も実施した。

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