元祖SaaS企業として躍進するSalesforce.comが守り続けるコアバリューとは何か。会長兼CEOのマーク・ベニオフ氏も登壇した創業20周年スペシャルイベントから、成功のヒントとなる言葉を紹介する。
Salesforce.com(以下、Salesforce)の日本法人であるセールスフォース・ドットコム(以下、セールスフォース)は2019年4月11日に創業20周年スペシャルイベントを東京都内で開催した。
主に従業員に向けたこのイベントには、Salesforce会長兼CEOのマーク・ベニオフ氏やIT・科学技術担当大臣で衆議院議員の平井卓也氏も登壇。本社創業の翌年に初の海外拠点が日本に設立されてからの歩みを振り返り、功労者の名前を挙げつつその貢献をたたえた。また、さらなる飛躍に向けたいくつかの新しい計画についても発表があった。
その1つが日本国内の事業拡大に伴う大幅な増員だ。冒頭、セールスフォースの代表取締役会長兼社長を務める小出 伸一氏は、営業、アライアンス、エンジニアリング、カスタマーサポートおよびマーケティングなど全ての組織において、現在1500人強の従業員数を2024年までの5年間で最大3500人とすると明言した。また、この大規模態勢を支える新拠点として2021年下半期に、世界で8番目、アジアで初となる「Salesforce Tower Tokyo」を、皇居外苑の和田倉濠に隣接した日本生命丸の内ガーデンタワーに設立すると発表した(注)。
注:同ビルには現在、三井物産が入居しているが、2021年春に建て替え中の本社ビルに戻ることが決まっている。
事業を拡大する背景として小出氏は、現在直面している「第4次産業革命」、つまりIoTでモノ同士がつながる世界について触れ「全てのモノがつながった先にはお客さまがいる」と指摘した。
顧客が手に入れることのできる情報はますます増え続ける。これまでは情報の非対称性が企業に有利に働いていたが、企業以上に豊富な情報を持った顧客は、割に合わない買い物はしてくれなくなるだろう。
「企業は生き残るために、お客さまの期待を超える体験を提供する必要がある。そのためにデジタルトランスフォーメーションを加速しなくてはいけない。これをサポートするためセールスフォースは大幅に事業を拡大する」(小出氏)
SaaSという業態を生み出しITの民主化を推進してきたSalesforceは、これまでに15万社を超える企業のデジタルトランスフォーメーションを支援してきた。同社の成功の土台には、創業時から変わらない以下4つのコアバリューがある。
まずは製品に対する顧客からの信頼がなければならない。信頼され、顧客を成功させて初めて自社も成功できる。そして、顧客と共に世の中にイノベーションを生み出す。顧客やパートナー、そして社会と良好な関係を維持するためには、対等な関係の中でお互いの多様性を認め、尊重し合うことも重要になる。
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