2004年、生活総合ブランドA社が「家」の販売を開始した。その立ち上げの責任者として入社した土谷貞雄氏。しかし、なかなか軌道に乗らない事業。その打開策として考えたのが、くらし全般をテーマとするユーザー参加型のWebサイトを開設すること、そして、幅広いテーマに渡って消費者と対話を重ねることだ。このコミュニティサイトは今では300万人近い会員を持つ。それらのコミュニティを舞台に、これまでの土谷貞雄氏の行なった活動と現在に至るまでの話、さらにこれからの考えを伺った。
土谷 それまでゼネコンで勤めた経験から、2004年にA社の住宅販売事業を担当するため入社しました。一般消費材を販売するA社では、「家」を雑貨や文具と同じような工業製品として大量生産、販売することでした。ところが全く売れなかったんです。家は高額ですし、そもそも買う物でなく、つくるもの、カスタマイズが前提ですし、異業種への新規ビジネスは、信頼を勝ち取るまでに時間のかかるものです。苦戦が続く中でも、営業拠点は全国に20カ所ほどに広がります。そこで2008年に、住まいをテーマとする「ユーザー参加型のWebサイト」を開設し、お客さんの暮らしは一体どのようなものなのかを知ろうとアンケートや訪問調査を始めます。そのことが大きな成果へとその後、つながっています。
第1回 企業発の「学びのコミュニティ」が重要視される理由
第1回 目指すは企業、生活者、社会のTriple-Winモデル、共有価値創造の実現が競争優位を創造する
第2回 「社会の役に立ち、生活者から共感を引き出す、自社でしかできないこと」を考える
第3回 価値の変遷〜選ばれるための理由となりえる「価値」について考える
第4回 あの「体脂肪計タニタの社員食堂」が生まれたヒントは? 〜Value Reframing 自社の提供価値を再定義することから始めるストーリー〜
第5回 広告枠に依存しないコミュニケーションをビルディングする重要性について
第6回 CSV創造の土台となるBRAND WILLの明示を――【対談】多摩美術大学教授 佐藤達郎先生Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.