「マーケター通信」コラムニスト インタビューの第2弾。「元・百貨店マーケッターが見た【住宅業界】の明日」の早坂淳一氏に話を聞いた。「注文住宅を建てる」と決めた時、あなたはまず何をするだろうか?
早坂淳一 マーケター通信「元・百貨店マーケッターが見た【住宅業界】の明日」のコラムニスト。ネクスト・アイズ 企画・広告事業部 部長。「元・百貨店マーケッターが見た【住宅業界】の明日」では、「住宅」をキーワードに経済/文化/生活等さまざまな領域の変化を観察している。
早坂さんが所属するネクスト・アイズは一般消費者に対し、不動産資産/住宅資産に関するアドバイスを提供するコンサルティング会社である。
例えばあなたが新築戸建の注文住宅を建てたいと思ったとしよう。まず何をするだろうか? おそらく「注文住宅」をキーワードにGoogleで検索をすると思う。すると、住宅メーカーの注文住宅ページや注文住宅に関するQ&Aサイトなど、実にさまざまなWebサイトが表示されるだろう。それらのページを見ていると、そのうち気付くことがあるはずだ。自分はいったいどういう生活をしたいのだろうか、と。
家を建てる時、わたしたちは将来の自分のライフスタイルを具体的に、細部に至るまで想像しなければならない。夢が広がる愉しい作業だが、一方で、極めて煩雑な作業であることも確かである。ネクスト・アイズのコンサルティング事業は、そんな家を建てたいという人々の生活設計(=家づくりの計画)を中立的な立場で支援することである。
早坂さんによると、注文住宅市場は従来、どちらかと言えば「売り手市場」だったという。しかし、「2010年前後から市場の性質が買い手主導に変化した」と言う。ソーシャルメディアの普及によって、消費者間で口コミ情報が活発にやり取りされるようになった時期である。
従来、注文住宅市場において、情報提供の主導権を握っていたのは売り手である住宅関連企業だった。消費者は「注文住宅とはなんぞや?」という基本的な疑問の解消から、自分たちのライフスタイルと住宅の仕様を合わせるというような詳細な要件固めに至るまで、專門の知識や経験を有する住宅関連企業側に依存しないわけにはいかなかった。実際、それはいまでも大きく変わっているわけではないのだが、現在は、消費者同士が連携して情報交換を行えるインフラが存在し、売り手と買い手の情報格差が縮小しつつあるのである。すると、売り手主導だった市場は少しずつ買い手主導にその性質を変えていくというわけである。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.