科学的手法で検証したTwitterならではの動画広告の効果とはどのようなものだろうか。
Facebook、Instagram、YouTube、そしてTwitter――人々が日常的に使うこれらのサービスは主に広告収入で運営されている。そして、広告の中で急速に存在感を増しているのが動画だ。
動画広告を複数のプラットフォームに出稿する広告主は少なくないだろうが、同じ内容の広告であってもプラットフォームが異なれば期待できる効果も異なる可能性がある。果たして、Twitterならではの効果とは何か。
本稿では、Twitter Japanが2020年4月21日に開催したオンラインブリーフィングで発表した独自の検証結果についてレポートする。
冒頭でTwitter Japan広報担当者が説明したTwitterの最新の概況によると、2020年4月のmDAU(収益につながる日間アクティブユーザー数)は1億6400万。前年同期比23%増に当たる。昨今の新型コロナウイルスを巡って、世界全体で会話が増えていることがTwitterの利用を後押ししているようだ。
動画の利用も順調に伸びており、2020年2月時点で1日の動画視聴回数は25億回(国内は5億回)に達した。広告の売り上げに占める動画広告の割合も前年比50%増加している。
Twitterの重要な収益源となった動画広告だが、Twitterならではの特徴はどこにあるのか。それを検証するために用いたのが、アイトラッキングと脳波測定による科学的なアプローチだ。同社マーケット・インサイト&アナリティクスリサーチマネージャーの竹下洋平氏が、検証結果の詳細を解説した。
検証に当たって設定されたテーマは「Twitterと他プラットフォームで動画広告の見られ方、反応の違い」と「モバイルに最適化された動画と最適化されていない動画の見られ方、反応の違い」の2つだ。計測は、脳科学をビジネスやマーケティングに役立てるサービスを提供するNeuronsと協力して実施した。
検証に使った広告素材は、Twitterで過去に配信した日本国内向けの動画広告で、家電、食品、化粧品など複数の企業から9ブランドを選定した。素材はモバイルに最適化されているものと最適化されていないものを各ブランドで用意したため、合計で18素材が検証対象になった。
プラットフォームはTwitterにFacebook、Instagram、YouTubeを加えた4つ。動画広告として流したものを被験者に見せた。サンプル数は123、治験者はスマートフォンから各プラットフォームの自分のアカウントにログインし、普段通りにそれぞれのタイムラインやニュースフィードを閲覧。YouTubeに関しては、見たい映像を自分で選択して視聴した。
アイトラッキングの検証では、固視割合(動画広告の特定エリアを見た人の割合)と固視までの秒数(動画広告の特定エリアを見るまでにかかった秒数の平均)が指標となる。
まずは、エリア別の固視割合だ。4つのプラットフォームごとに表示させた動画広告について「動画」「テキスト」「プロフィール名(ブランド名)」「プロフィール画像」「広告スキップ(YouTubeのみ)」のどこかを一瞬でも見た人の割合を示したものが以下のグラフだ。これによると例えば、Twitterにおいては123サンプルのうち8割の人が、広告素材の動画エリアを一瞬でも見たということになる。
動画に関しては全プラットフォームで8割以上の人が見ている。テキストに関してはTwitterとFacebookが7割近いが、InstagramとYouTubeはその約半分で、動画と比べて差が大きい。
検証動画広告の一つに対し、どのエリアを平均的に注視していたのかをヒートマップで表したのが以下の図だ。緑色の箇所はあまり注視されず、赤色は注視される時間が長かったことを示す。同じ傾向は18素材全てで出ている。テキスト部分を見た人の割合はTwitterとFacebookでほぼ同じだったが、どれだけテキストの部分を注視していたのかをヒートマップで見るとTwitterが圧倒的に高いことが分かる。
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