「LINE Biz Online Conference」で明かされたLINEの広告ビジネスに関する概況と最新アップデートについてまとめた。
LINEは2020年3月18日、広告主および広告代理店を対象とした法人向けサービスの事業発表会「LINE Biz Online Conference」のライブ配信を「LINE LIVE」および「YouTube Lve」で実施した。今回のイベントはもともと2020年2月にオフラインで開催予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて異例のオンライン限定開催となった。
冒頭、LINE執行役員で広告ビジネス事業担当の池端由基氏は、同社のサービスが2011年に発生した東日本大震災をきっかけとしてスタートした経緯に触れて、「困難な状況でこそ、LINEがコミュニケーションツールとしてその本来の価値を提供できる機会」と語った。
日本国内におけるLINEの月間アクティブユーザー(MAU)数は2019年12月時点で8300万。そのうち毎日LINEを利用するユーザーの割合(DAU/MAU)は86%と依然として成長を続けている。国内ユーザー属性は男性48.2%に対して女性が51.8%。年齢や居住地にも偏りがなく人口分布とほぼ同じだ。職業別では会社員が最も多く、次いで主婦や学生が多い。つまり、ほとんどの日本人が日常的に触れる媒体ということになる。そうした中、コミュニケーションインフラとしてLINEの貢献はますます目立つようになっている。
昨今では厚生労働省およびソフトバンクとの連携の下、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客と乗組員などに、コミュニケーションアプリ「LINE」をインストールしたiPhoneを2000台提供した。さらに関係者専用のLINE公式アカウントも開設した。
また、ウイルス対策で休校となり卒業式ができなくなった児童、生徒、学生を支援するため、LINEのさまざまな機能やLINEが提供する各種サービスを使って「#みんなの卒業式」キャンペーンも実施した。
他にも、学校向けに「LINE公式アカウント」を無償で利用できるプランの提供、神奈川県を皮切りに各都道府県と協力して新型コロナウイルスに関する情報提供をサポートする「新型コロナ対策パーソナルサポート」公式アカウント開設、「新型コロナ対策のための全国調査」なども記憶に新しいところだ。
LINEがもたらす「つながり」の価値はビジネスにとっても欠かせないものだ。LINEはコーポレートミッションとして「Closing The Distance」を掲げ、LINEを核に、人同士はもちろん人や企業・ブランドなどの距離を縮めることを目指している。
くしくも世間ではウイルス感染防止の観点から「ソーシャルディスタンス(社会的距離)」が叫ばれ、人と人との物理的な接触や対面でのコミュニケーションが避けられるようになっている。それによりビジネスの継続に何らかの支障をきたしている企業も少なくない。だからこそますますデジタルファーストで、縮小した接点を補って余りあるコミュニケーションが必要になってくるともいえるだろう。
LINEは広告事業において、企業や店舗と顧客のつながりを強化するため、2020年1月にリニューアルを実施した。現在では「コミュニケーション」「広告」「店頭販促・OMO」の3テゴリーでサービス提供をしている。
核となるのはコミュニケーション領域の中軸であるLINE公式アカウントだ。公式アカウントを通じて一人一人のユーザーを深く理解した上で、「LINE広告(※1)」でそれぞれに適したマーケティングコミュニケーションを実現する必要がある。それは店頭販促領域の「LINEセールスプロモーション(※2)」においても同じだ。
※1:旧「LINE Ads Platform(LAP)」から名称を変更。
※2:旧「LINE Sales Promotion」から名称を変更。
LINE内でのデータ連携を強化して各領域での顧客体験をより豊かなものへと変えていくためには、あらゆる企業が使いやすいプラットフォームであることが求められる。そのための直近の取り組みの1つが、広告審査の基準と運用体制の改編だ。全てのユーザーが安心して安全にLINEを利用できるようにすると同時に、全ての企業が LINEでマーケティング課題を解決できるように、「基準の明確化」「業種緩和」「審査コラム掲載」「事後審査」の4項目を掲げている。また、認定資格「LINE Green Badge」を新設し、LINEと同じ思いで新たな顧客体験の実現を担うパートナーを支援していく。
イベントでは「LINE公式アカウント」「LINE広告」「LINEセールスプロモーション」それぞれの領域について、製品責任者が最近の概況と今後の展望について語った。また、サービス間をつなぐ「クロスターゲティング」と新サービス「LINEマーケットプレイス」についても語られた。次のページではそれぞれのポイントを簡潔に紹介する。
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