米国のB2Bマーケティングは、日本に比べて圧倒的に進んでいるといわれています。今回は、米国における取り組み事例を通じて、B2Bマーケティングの別の側面を見つめてみたいと思います。
小倉 夏
おぐら・なつ 電通デジタル ソリューションプランニング事業部。プランナー。入社以降マーケティング部門にて建設、金融、製造業などにおけるB2Bクライアントのマーケティングサポートに取り組む。現在はマーケティング戦略立案、施策設計、制作、広告運用に従事。また、電通デジタル自身のリードマネジメントの運用にも関わる。
第1〜3回でターゲットを見極めることの重要性や広告投資効果の測り方について述べましたが、今回はB2Bマーケティングが進んでいる米国における取り組みの紹介を通じて、B2Bマーケティングの別の側面を見つめてみたいと思います。
米国におけるB2Bマーケティングの様子は各クラウドベンダーのカンファレンスやSiriusDecisionsのサミットでレポートされていますが、それらを見ても、B2Bマーケティングにおいて米国は日本に比べて圧倒的に進んでいることが分かります。実際、マーケティング担当者は自社の保有リード数や顧客1人当たりにかける妥当なコスト、リードからセールスへの転換率などをきちんと把握しており、マーケティングの管理が当たり前のように行われています。
そのような環境下、デジタルの効率性を追求することで劇的な成果を上げてきた米国において、一方でマーケティングの効率だけではない、新たな視点が指摘され始めています。
電通イージスネットワークのB2B専業エージェンシーであるgyroは「極めて合理的な購買プロセスを持つB2Bにおいても最終的に意思決定をするのは感情を持った人間であり、その意思決定には“MORE THAN RATIONAL THINKING”(合理的な判断を超える主観や感情)が大きく影響している」と述べています。
gyroが『FORTUNE』の調査機関であるThe Fortune Knowledge Groupと共同で行った企業のエグゼクティブ調査(※1)では、意思決定に関わる幹部の約3分の2が「主観的な要因が意思決定において影響を与えている」と回答しています。また、長期的なビジネスパートナーを選ぶ際に重要な点として、回答者の70%が「会社の評判」、53%が「会社の文化(社風)」と答えています。他にも、意思決定に影響を与える人数が2011年の11.5人から2015年の17人に増えているなど、意思決定に際して人の主観や感情が与える影響が大きくなっていると指摘しています。
※1. 2014,“ONLY HUMAN” The Emotional Logic of Business Decisions
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