土肥:駅消費研究センターでは、特に首都圏の人を意識され、鉄道による移動シーンを分析されてきました。今後、移動者を狙ったマーケティングはどうなっていくと思われますか?
中里:手前味噌な言い方ですが、追い風が吹いているかなと思っています。その理由として、3つのことが挙げられます。
1つめは「小売店の増加」ですね。先ほども申し上げたように、今の生活者はお店に囲まれて暮らしていますが、今後もその傾向は高まっていくことでしょう。移動導線上にコンビニの店舗数は増えていくことが予想されますし、スーパーとコンビニの間に位置するミニスーパーも首都圏を中心に増えています。
また駅での買い物もますます便利になるのではないでしょうか。移動導線上にお店が増えるということは、移動者を狙う意味では追い風が吹いていると言っていいでしょう。
2つめは「情報環境の充実」。スマートフォンやタブレット端末が急速に普及しているので、生活者はいつでも・どこでも情報を手にできるようになりました。昔は移動中に情報を手にしようと思えば、紙の新聞や雑誌くらいしかありませんでした。
また駅の改修にともなって、デジタルサイネージが増えてきています。動画で見せたり、時間帯別に広告内容を変えたりと、これまでになかった展開が可能になりました。こうした移動シーンに触れるメディアが充実したことで、移動者をもっと買い物客に変えることができるようになるのではないでしょうか。
最後は「働く女性が増えている」こと。下の図を見ていただけますか? これは総務省の「労働力調査」のデータで、首都圏に住む女性の就業率を2000年と2011年で比べたものです。ご覧の通り、各年代で働く女性の割合が増えていますよね。特に20代後半から30代後半にかけては10ポイントほど増えていて、単純計算で年1%ペースで増えていることになります。
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