何気なく歩いていて、ついつい買い物をしてしまった。こんな経験をしたことがある人も多いのでは。なぜ人は移動中に買い物をしてしまうのか。生活者の購買行動などを分析している「ジェイアール東日本企画 駅消費研究センター」の担当者に話を聞いた。
何気なく歩いていて、こんな買い物をしたことはないだろうか。ディスプレイに並んでいるスイーツがおいしそうだったので、ついつい買ってしまった――。
もちろんスイーツでなくてもいい。それはジュースでもいいし、本でもいい。歩いているときに買うつもりはなかったのに、衝動的に買ってしまう。なぜ人は“移動中”に買い物をしてしまうのだろうか。
こうした人の移動に注目して、生活者の購買行動などを分析している会社がある。その名は「ジェイアール東日本企画 駅消費研究センター」。さまざまな調査を行った結果、移動者のどのようなことが見えてきたのか。同センターの中里栄悠(なかざと・えいゆう)さんに話を聞いた。聞き手は、Business Media 誠編集部の土肥義則。
土肥:中里さんが働いていらっしゃる「ジェイアール東日本企画 駅消費研究センター」では“移動者”のことを分析されているそうですね。そもそも、なぜ移動者に注目されたのでしょうか?
中里:企業の広告担当者からよくこんな言葉を聞いていました。「広告を打っても、あまり売り上げが伸びないんだよねえ」と。大量にモノを作って、大量の広告を打って、大量に売る――。このモデルが、いま揺らいでいるのではないでしょうか。
昔と違って、今の生活者は価値観が多様化して、ライフスタイルも変化しています。生活者が変われば、企業側も変わらなければいけません。そこで私たちは“移動者”に目をつけました。
土肥:「移動者マーケティング」という言葉を使われていますよね。
中里:読んで字のごとく、移動する生活者をターゲットにしたマーケティング手法です。ネットショッピングやテレビ通販などを除き、買い物をするには移動しなければいけませんよね。生活者は移動することで初めて買い物客(ショッパー)になれるのですが、マーケティングの世界でこの移動行動がフォーカスされたことはあまりありませんでした。
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