「調査のチカラ」で人気がある調査データを紹介します。「携帯電話・スマートフォンの利用状況や満足度に関する調査」や「女性の『見た目』」に関する意識調査」がランクインしました。
10月26日時点で最も読まれた調査データは「長・短期プライムレート(主要行)の推移 」でした。2位は「忘れがちなバーベキューの必需品ランキング 」で、3位は「全国老後に住みたい都市・住みたい県ランキング 」でした。
1位の調査データは「長・短期プライムレート」です。この調査は8月10日、9月26日、10月15日時点でもランキング1位を獲得していました。結果は8月10日の記事に詳しくまとめています。2位は「忘れがちなバーベキューの必需品ランキング」です。この調査は10月12日の時点のランキング1位で10月22日と変わらず2位をキープしました。こちらは10月12日の記事で詳しく紹介しています。
私が興味深かったのは7位の平成23年産茶生産量(主産県)です。この調査は農林水産省が平成23年(2011年)12月1日時点で、茶生産主要県の茶生産量を3項目に分けて調べたものです。3項目とは(1)摘採実面積(茶を栽培している面積のうち、収穫を目的として茶葉の摘採が行われた実面積)、(2)生葉(生の茶葉)収穫量、(3)荒茶(生の茶葉を揉む、乾燥させるなどの加工処理を行い製造したもので、仕上げ茶として再製する以前のもの)です。茶生産主要県とは、生産が際立って多い静岡県と鹿児島県、他は九州、四国、関東などに散らばる、温暖な気候の全16府県のことです。
調査を見ると、摘採実面積、生葉収穫量、荒茶生産量ともに全国で1%減産という結果でした。この3項目には因果関係があります。つまり摘採実面積が減れば生葉収穫量が減り、生葉収穫量が減れば、荒茶生産量が減ります。全国的には前年比1%減ですが、平均的に生産量が減少したのではなく、茨城県の摘採実面積が前年比85%減、荒茶生産量は前年比96%減という結果が大きく影響しています。この結果は東日本大震災が引き起こした原発事故によるものです。茨城県が県内産茶葉の放射性物質検査を実施したところ、生茶葉から暫定規制値を超えるセシウムが検出されたため、行政は茶葉出荷の自粛を農家に要請しました。
当時も大きく報道されましたが、このように調査でみると被害規模がよく分かります。レポートを見ると今回の農林水産省の調査は「農業災害補償法に基づく共済事業の適正な運営のための資料とすること」が目的の一部だという記載があります。マーケティングだけでなく、正当な補償を受けるためにも「調査の力」は有効なのです。
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