大企業のデジタルマーケティング取り組み実態――富士通総研調査今日のリサーチ

大企業においてデジタルマーケティングの成果を出すポイントとは。

» 2020年01月16日 20時00分 公開
[ITmedia マーケティング]

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 富士通総研は、「大企業のデジタルマーケティングへの取り組み実態と課題」をテーマにした調査を実施しました。

 調査対象となったのは年商1000億円以上の民間企業に勤務するデジタルマーケティング担当のマーケター1294人。担当しているデジタルマーケティング業務のビジネス貢献状況について尋ねたところ、75.5%の人が「ビジネスに貢献している」と回答しています。

 具体的な貢献の中身としては「従来の営業活動ではアプローチできなかった新規顧客を獲得した」が41.1%。その中には例えば、「今までのマス広告ではリーチしにくい若年層にSNSでアプローチできる」(B2Cサービス業)、「商品情報をWebサイトに掲載して最適化したら海外からメールで問い合わせが来て受注につながった」(B2B製造業)などの声が挙がりました。

「ビジネス貢献している」が4分の3を超えるが全体最適までの道は遠い

デジタルマーケティングのビジネス貢献状況《クリックで拡大》

 4分の3のデジタルマーケターが自らの取り組みについてビジネス貢献を自覚する結果となりましたが、貢献度合いについてはどう評価しているのでしょうか。以下4段階の分類で尋ねました。

第1段階 トライアル 一部の商品・サービスでデジタルマーケティングを試行している段階
第2段階 部分最適 トライアルで成果が出始めた段階
第3段階 全体最適 成果を横展開して全社に広げた段階
第4段階 リーダー デジタルマーケティングの取り組みが競合と比較して大きく進んでいる段階

 第1段階のトライアルは24.5%で、第2段階の部分最適が一番多い49.9%でした。第3段階の全体最適は15.7%、第4段階のリーダーは9.9%でした。ビジネスに貢献していると答えた半数以上は、一部の商品・サービスを対象としたトライアルで成果を出し、これから全社展開を進める状況にあるようです。

 この分布は対象顧客によって異なります。特にトライアルは、B2Cが17.4%に対してB2Bは29.7%で、B2Bはトライアル段階が多くなりました

デジタルマーケティング成熟度の分布状況と対象顧客による違い《クリックで拡大》

 トライアルや部分最適が次の段階に進むためにはどうすればいいのでしょうか。 段階ごとの成熟度の違いを比較すると、課題が見えてきます。

 例えば、第4段階の企業では83.6%、第3段階の企業で58.6%が「デジタルマーケティングの戦略やロードマップがある」と回答しているのに対して第2段階では31.1%と大きな差がついています。この他、「経営層が入ってデジタルマーケティングをけん引している」や「顧客体験(CX)提供が競合会社より進んでいる」でも段階が上がるに従って比率が高くなっています。

段階別のデジタルマーケティング成熟度の違い《クリックで拡大》

 ちなみに、段階が上がるほど多くの人が課題と感じるのがデータの不足です。これはデジタルへの取り組みが進むほど、顧客との関係性を深めて最適な顧客体験を提供するためにさまざまなデータを組み合わせる必要性を意識せざるを得なくなるためと考えられます。逆にいうと、データの不足は段階の高低にかかわらず共通であり、トライアルや部分最適にとどまっている企業は、より多くの課題を抱えているともいえるでしょう。

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