検索データは商品開発のアイデアの宝庫だ。ヤフーの「DATA FOREST構想」から間もなく生まれる新サービスをいち早く体験してみた。
「Yahoo! Japan」を日本の代表的なWebメディアに育てたヤフーが今後の同社の成長を支える柱として挙げるのが「統合マーケティングソリューション」「eコマース」「FinTech」「データソリューション」の4つの事業だ。中でも新しいチャレンジとなるのが、4番目のデータソリューション事業だろう。
ヤフーではもともと自社のサービスを改善する上で、例えばYahoo!ニュースならYahoo!ニュースの、Yahoo!ショッピングならYahoo!ショッピングのデータを活用していた。しかし、各サービスは同じIDでひも付いている。それぞれのデータを相互に横断させることで新たな発見が得られることが分かってきた。
現在ではデータを社内で循環的に活用する取り組みが進んでおり、この流れでデータをさまざまな企業や研究機関、自治体などと共有して相互利用できるエコシステムを構築しようとしている。それが、2018年2月に発表した「DATA FOREST(データフォレスト)」構想だ。データソリューション事業はこの構想を具現化したもので、2019年10月末には新サービスの提供を開始する予定だ。
データソリューション事業に対する関心は高い。これまでに寄せられた問い合わせは2019年9月末時点で200を超える。実証実験のパートナー数も約60に増えた。そこでヤフーでは、企業がデータを使ってどのようなことができるのか、無料で先行的に体験するための拠点として、東京・紀尾井町の本社オフィス内に「DATA FOREST LAB」(以下、ラボ)を設置している。
ラボで得られる知見とはどのようなものか。事業責任者を務めるヤフーの谷口博基氏(データ統括本部事業開発本部本部長)に聞いた。
ヤフーは検索やニュースの他、さまざまなサービスを展開している。「Yahoo! JAPAN ID」でそれらにログインするユーザーは月間約4900万に上る。
ここから取得されるデータは次の4つに大別できる。
データソリューション事業が目指すのは、これらのデータを組み合わせて新しいインサイトを得て「企画・開発」「生産」「物流」「マーケティング」に至るバリューチェーン全体を支援することだ。谷口氏は、特に注力するポイントとして「消費者の興味関心の把握による効率的な商品開発」「未来予測による生産・物流の最適化」の2つを挙げる。
前者では主に検索のデータを使う。何かを検索するときに入力するキーワードは、ユーザーのニーズを反映している場合が多いと考えるからだ。後者では商品の販売予測を行い、最適な生産量を予測して欠品による販売機会の逸失や過剰在庫による廃棄ロスを減らすことを狙う。
最初にリリースを予定しているサービスは検索データを用いたものになる予定だ。どういう言葉をどういう言葉と一緒にどの年代の人が検索しているのか、統計的に示すツールを提供する予定だ。また同ツールでは、位置情報を掛け合わせることで興味関心についてのエリア別分析も可能にする。
ラボでは企業が抱える個別の課題に合わせてデータの具体的な活用法をアドバイスしてくれる。これまでの例では、以下のようなユースケースもあった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.