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» 2019年07月02日 12時00分 公開

サイバーエージェント流 動画広告の科学(前編):動画広告で結局人は動いたか? モノは売れたのか? (1/2)

動画広告をブランディングに活用する機運が高まっているが、どうすればその効果を最大化できるのか。そもそも何をもって成果とするのか。数字をベースとしたリアルな考え方を説明します。

[加藤 徹,サイバーエージェント]

 昨今、動画広告のマーケットはますますの広がりを見せています。サイバーエージェントとデジタルインファクトが発表した市場データによると、2024年には動画広告市場は4957億円市場まで拡大する見込みとされています。

動画広告市場の成長は続く(出典:サイバーエージェント)《クリックで拡大》

 スマホ自体の性能向上やWi-Fi環境の広がりに加え、キャリアも回線を強化して大容量定額プランを用意するなど、通信環境は大きく変わりました。そしてこの変化が、手軽に動画を楽しむことを後押ししています。インフラの進化に乗っかる形で、YouTubeをはじめとした動画コンテンツメディアへのユーザーのアクセス数も加速度的に増加し続けています。

 動画コンテンツが世の中に増加すると、各メディアは必然的に、そのアクセス数を収益に変換することを考えるようになります。動画コンテンツの視聴を「広告在庫」と捉え、そこに挿入される形で、動画広告の配信数が爆発的に増加してきました。

 2020年以降は5G回線の開始と普及に伴い、動画転送負荷が驚くほど軽減されるとともに、ユーザー側の動画視聴への抵抗がさらに低下することが予想されます。また、これまでの多くのさまざまなコンテンツが動画に置き換わり、さらなる動画大爆発時代が到来するでしょう。宣伝やマーケティングに関わる人達にとって、動画がますます大きな関心事となることは間違いありません。

企業が動画広告を活用する目的

 現在すでにインターネットの動画広告は一般的に広く配信されるようになっています。「YouTube」や「Facebook」などのプラットフォームのみならず一般的なWebサイト上でもさまざまなブランドの動画広告を目にすることになりました。

 しかし、そもそも広告出稿する企業側にとって、動画広告の主たる活用目的は何なのでしょうか。

 私が見聞きしている限りでは、ブランド広告主においては、テレビでは捉えきれなくなってきたリーチの補完という意味合いでの動画広告活用が多いように感じます。つまりはテレビCMが中心であり、ネット動画広告は周辺領域であるというような序列のプランニングです。

 テレビの視聴者数が減少傾向にあるなどといわれて久しいですが、そうは言ってもテレビの持つリーチ力やメッセージの拡散力は依然として強力です。

 メーカーにおいてはテレビCMを出稿すること自体が小売店舗での棚取りに大きな影響力を持ちます。このようなテレビの持つメディアパワーを考えると、テレビCMを前提とした広告クリエイティブ制作が行われ、同じクリエイティブをインターネット動画広告でも配信し、テレビと同じメッセージを、ネットを多く見るユーザーのリーチも確保しておくという考え方になるのでしょう(もちろんキャンペーンによってケースバイケースだと思いますが)。

動画広告の効果とは

 上記のような、「テレビとセット」の動画広告を配信した場合、動画広告の効果測定(評価)はどのように行えばよいのでしょうか。

 一般的には、広告主はテレビCMの放映期間と動画広告配信期間をキャンペーン全体としてそろえる傾向にあります。当然、同期間中は他に雑誌や新聞、ラジオやOOH(屋外メディア)でも広告を展開します。他にもイベントを実施するなと、さまざまなタッチポイントが創出されます。

 カスタマージャーニーはとても複雑化しており、消費者がどのタッチポイントで商品やブランドを認知し、購買まで至ったのか、それぞれの施策の影響度を精緻に抽出し割り出すのは困難な環境です。当然、動画広告についても同様のことがいえます。動画広告がユーザーの心理や行動どのような影響を及ぼしたかを精緻に分析するのは、とても難しいことです。

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