Adobe Systemsによる電撃的な買収で注目されるMarketoの年次イベントが日本で開催された。本稿ではそこで語られたMarketoの今後の戦略を、製品アップデートを軸に紹介する。
2018年11月2日、Marketo日本法人であるマルケトは年次イベント「The Marketing Nation Summit 2018」を開催した。
その前日(米国では10月31日)にはAdobe Systems(以下、Adobe)による買収手続きが完了したばかりとあって、CEOのスティーブ・ルーカス氏の来日はかなわなかったが、会場に届けられたビデオメッセージでルーカス氏は「AdobeとMarketoはマーケター、セラーのためにさらなるイノベーションを促進する。世界一パワフルなエンゲージメントプラットフォームを構築する」と述べ、「Marketo」が「Adobe Experience Cloud」の幅広い製品群と連携しつつ、今後もマーケターとその顧客の成功を支援するため製品への投資を加速させることを宣言した。なお、ルーカス氏は今後、Adobeのデジタルエクスペリエンス事業の中で引き続きMarketoのチームを率いていく。
今開催のテーマは「Fearless Markter」。迅速に、勇敢に、大胆に、新しいチャレンジをして組織が成果を挙げるためには幾つかの課題がある。Marketo チーフカスタマーオフィサーのマット・ジリ氏は「人と企業がつながるエンゲージメントエコノミーの中で、ブランドは企業でなく顧客がコントロールするものとなっている。企業は顧客に一貫した忘れがたい顧客体験を提供する必要が高まっている」と述べる。
顧客の期待の先を行く体験を提供できるようにするため、求められるのが「Plan」「Engage」「Measure」のアジャイルなプロセスだ。利用可能なテクノロジーが増え、マーケターはより多くのことをしなくてはならなくなった。効果的なプランニングが求められるが、そのためには各施策によってエンゲージメントをリアルタイムに計測し、改善を積み重ねていかなくてはならない。
環境が変化し、マーケティングはますます複雑さを増す。新たなアプローチも必要だ。しかし、マーケターにはそれをチャンスとして捉える果敢な姿勢が求められる。そうしたFearless Marketerの挑戦を支える製品アップデートについて、マルケトで製品責任者を務める新田達也氏が解説した。新田氏は、今日のマーケターが3つの課題を抱えていると指摘する。
「1つ目の課題が、顧客はパーソナライズされた体験を求めるということ。顧客は企業にマーケティングをされたいとは思っていない。自分にとって質の高い情報を適度な頻度、適切なタイミング、適切なチャネルで提供してほしいだけだ。これを実現するには顧客理解が重要だ。個々に最適なコミュニケーションを図ることができれば、顧客との間に信頼関係が生まれ、ロイヤルカスタマーが育つ。2つ目の課題が、オペレーションの効率化と収益への貢献の両立だ。昨今、マーケティング部門は企業の成長ドライバーとして期待される、一方で予算は限られており、業務を効率化しつつ収益へ貢献することが求められる。3つ目の課題が、マーケティング活動の成果の可視化だ。経営層にマーケティングの成果を説明するのは難しいといわれるが、データに基づいた説明ができれば納得してもらえる」(新田氏)
3つの課題解決に向け、Marketoでは主に「AI」「アナリティクス」「セールス」の3軸で製品を開発しているという。
まず、AI。MarketoにおいてAIはマーケターの生産性を向上させ、専門家がいなくても即座に利用できるものであること、AIによるスケールメリットと人手によるコントロールのバランスが取れていることが求められるという。具体的には、以下の3つの製品を用意している。
アナリティクスにおいては専門知識がなくても活用できるか、成果の出たキャンペーンを特定できるか、マーケティング投資の最適化に貢献できるかという点を重視し、以下の2つの製品を用意している。
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