動画広告はテレビCMの補完にとどまりません。チャネルの垣根を越えて動画が広がることで、単なる認知を越えた、より本質的な役割が期待できます。
CyberBull(サイバーブル)の中田です。この連載では、動画広告をマス広告のリーチ補完として捉える従来の考え方から脱け出し、マスとデジタルをミックスしたマーケティング全体の中での動画広告の可能性について考えてきました。
前回の記事「『動画広告を運用する』とは、そもそもどういうことなのだろうか?」では「ビデオを通したボーダーレスチャネル」という概念を紹介しました。動画コンテンツは次時代のコミュニケーションの主流になります。スマートフォン上で動画コンテンツを楽しむのは当たり前ですが、今後はWebに限らず、より消費者の日常とつながったリアルな場所にも動画によるコミュニケーションが増えていくでしょう。
消費者との接点の多くが動画フォーマットに移行した世界で、有効なクリエイティブの条件とは何か。今回はこのことについて考えてみたいと思います。
現代の消費者は、日々スマートフォンに流れ込む大量の情報に触れています。そうした中、スマートフォンの小さな画面上で消費者の限られた時間を奪い合うという発想でなく、スマートフォンの外から消費者の時間に溶け込むアプローチも模索されています。日本交通グループのJapanTaxiとフリークアウトの合弁会社であるIRISが開発・提供するタクシー搭載型のデジタルサイネージ「Tokyo Prime」も、その1つです。
Tokyo Primeでは車内に設置された画面に動画広告を配信しています。そして、乗客の性別や走行エリア、時間帯・曜日などによって、コンテンツの内容を最適化しているところに、このサービスの特徴があります。
このようになメディアにおいては、広告クリエイティブが特に重要になります。せっかくターゲットが明確化されているのですから、見る人に合ったコンテンツを、視聴シーンにふさわしいトーン&マナーで提供することで、より効率良く訴求したいものです。単にテレビCMの素材を流用しただけの画一的なコンテンツをどの車両にも一斉に流すだけではもったいないといえます。商品によっては、単にイメージを訴求するだけでなく、購買など実際の行動を促すことさえできるかもしれません。
そうなってくれば、広告の効果検証の在り方も変わってきます。例えば現在、Web動画は視聴開始率をKPIとするのが一般的ですが、今後は商品やコンテンツの目的、配信先のチャネルに応じて個別に指標が設定されるようになるでしょう。
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