未知のユーザーを見込み客へ、見込み客を顧客へ、そして顧客を優良顧客へ。最終回はフルファネルマーケティングの仕上げとなる「拡大」のステージ、そしてB2Bでの考え方について説明します。
前回までの記事では、広告キャンペーンの最適化を図り、新規顧客の興味を引き付け、購入意欲を高めるまでの道のりについてお伝えしました。最終回となる今回紹介するのは、最も難易度の高いファネル底部の「拡大:Grow」のステージです。このステージでは、顧客をブランドのファンに育成し、好循環のサイクルへとつなげることを目指します。
マーケターの最終的なミッションは売り上げに貢献すること、つまり「客数」×「客単価」を上げることといえます。「拡大:GLOW」はこのうち、客単価を伸ばすことに注力するステージです。
既存顧客を囲い込み、維持していくために効果的な施策としては、「リターゲティング」「アップセル」「クロスセル」などの手法があります。ここでは、焙煎コーヒー豆を販売しているある企業が、新規顧客獲得のためにコーヒー豆を訴求する広告キャンペーンを実施したという想定で、具体的な考え方を見ていきたいと思います。
半年間のキャンペーン終了後、3日以内にWebサイトを訪問したユーザーは1563人でした。「期間限定 試飲コーヒー豆」を購入した顧客は86人。これらのデータを活用して、再アプローチしたいと考えます。
広告キャンペーン期間とその直後には、広告のクリック数以上にサイト訪問数が上昇することがあります。これは、クリックはしないまでも広告を見たことでWebサイトを訪れるユーザーの存在を示しています。
そのようなユーザーには「リターゲティング」が効果的です。1563人の新規訪問ユーザーは、焙煎コーヒー豆販売サイトを訪れて離脱した後、しばらくの間は興味関心を持って購入を検討している可能性があると考えられます。そこで、これらのユーザーが次に訪問した別のWebサイトにおいて「焙煎コーヒー豆割り引きセール」と「期間限定 試飲コーヒー豆」の広告を見せ、再訪問を促します。
「期間限定 試飲コーヒー豆」を購入して顧客となっているユーザーに対しては、リターゲティングと同時にメールでのアプローチを仕掛けます。既にブランドを信頼し、購買行動を起こした実績のある顧客は、同ブランドの別製品を売る視点で見れば、購入する可能性が最も高い見込み客でもあります。そこで、CRMと連携して顧客の行動特性や購買履歴に合わせてメッセージ内容を設定し、アップセルやクロスセルを促します。
これらキャンペーンの効果を測定し、広告を最適化するためのKPI(評価指標)は次の5つです。
中でも基本的なLTVの算出方法について、詳しく見ていきましょう。
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