より原点に近いところからPDCAの考え方を深める本連載。今回は、戦略評価のための「KPI」の定め方について、ビジネス別、Webサイトの種別に整理します。
前回の記事「何のためのPDCA? PDCAサイクルの手前を設計することの大切さ」では、「そもそも何のPDCAを回すのか」を決めることが大切だという話をしました。まず決定する必要があるのはビジネスのゴール。その上で、そこにたどりつくための戦略を決めるのです。
このとき、戦略を評価するための指標として「KPI」という考え方があります。本稿の前半で、KPIという概念について、略称となっている「K」「P」「I」という個別の要素について、それぞれ整理しつつ、その特徴を解説します。後半では、ビジネスやサイトの種別で異なるKPIの事例を紹介します。なお、今回紹介するKPIは主に中長期(半年以上)で設定するものを中心としており、キャンペーンや単発企画におけるKPIに関しては想定していません。また主にWeb上での話が中心になります。
具体的な事例に入る前にあらためて言っておくと、KPIとは「Key Performance Indicator(重要業績評価指標)」の略称です。まずは「Key」「Performance」「Indicator」という3つの用語の意味するところを1つずつ確認していきましょう。
「Key」は「重要である」ということです。筆者が以前在籍していた事業会社では、KPIを決定するのに2カ月かけていました。どういった指標を選ぶか、候補を出すことは比較的簡単です。この後に紹介するビジネスやサイト種別ごとのKPI例を活用したり、過去のデータ分析から候補を洗い出したり、前年に設定したKPIの継続判断をしたりして、候補を洗い出します。
Key(重要)であるからには、その数値を達成するためのリソース、つまり人、モノ、予算などが必要になります。必要な人材を確保するために、場合によっては採用やメンバーの部署異動にも影響します。例えば、スマートフォンの自然検索流入数や割合をKPIとするのであれば、モバイルSEOの知識がある人や外部ベンダーとの協働が必要になります。そのような人材や予算を確保できないままこれをKPIに設定しても、改善を行うことができません。
つまりKPIを決めるということは、単に指標を定義するだけではなく、それを実行するための環境まで考慮することが求められる重要なプロセスなのです。何となく決めただけのKPIでは関係者から重要視されないリスクがあります。
次に「Performance」。いろいろな意味がありますが、KPIという文脈においては「成績」あるいは「実行」と考えるのが一番しっくりくるのではないでしょうか。大切なのは、ただ数値を見るということではなく、何らかの取り組みに対しての成績を見るということです。つまり「取り組みを実現する」ことが前提です。前回のも触れましたが、KPIを決める前に施策のイメージやスケジューリングができていることが大切です。
最後に「Indicator」。「指示するもの」「指標」という意味合いが一番近いでしょうか。つまり、その数値の変化が最終ゴールに対してのベンチマークやバロメーターになることが大切です。ゴールと関係ない指標を選んではいけません。とはいえ、あくまでも「指標」なので、結果そのものについては別途分析が必要になってきます。
ここまでをまとめると、KPIの設定においては、「ビジネスゴールに直接影響を与える指標で、その数値を伸ばすか改善するための取り組みを実行し、評価ができる」ことが大切と言えそうです。
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