楽天会員9000万人のビッグデータとテレビ視聴データがひも付くと何が起こるのか楽天と電通の新会社が目指すもの(1/2 ページ)

楽天と電通は「楽天データマーケティング」の設立を発表した。楽天のビッグデータと電通のノウハウを融合した新たなマーケティングソリューションとはどのようなものになるのか。

» 2017年07月28日 13時00分 公開
[織茂洋介ITmedia マーケティング]

 楽天と電通は2017年7月26日、新会社「楽天データマーケティング」の設立を発表した。新会社は、会員数9000万人を誇る楽天のユーザーIDを中心としたビッグデータとCRMに電通グループの強みであるマーケティングコミュニケーションのノウハウを掛け合わせることで、企業のマーケティング活動の最適化および効果の最大化を図るという。資本金は1億円。出資比率は楽天51%、電通49%。設立日は2017年8月中旬を予定。2017年10月1日より営業を開始する。

「日本のインターネット広告の生みの親」がこれから挑むこと

 楽天代表取締役会長兼社長の三木谷 浩史氏は「ブランドやマーケティングは企業にとって大変に重要。顧客にどうアプローチするか、電通の強みと楽天の強みを最大限に生かしイノベーティブな解決策を生み出していきたい。楽天データマーケティングは今までにない革新的な取り組みで業界をリードしていきたい」と述べた。

 電通側を代表して登壇した電通デジタル代表取締役CEO兼電通執行役員の榑谷典洋氏は「消費者が動いてくれないというクライアントの悩みに応え、トップライン(売上高)を伸ばしていくために、マーケティングの重要性は格段に高まっている。また、企業活動全般のデジタルトランスフォーメーションが急速に進む中で、データが貴重な資源になってきているが、楽天グループが持つ質と量を兼ね備えた圧倒的なデータとわれわれのマーケティングノウハウを組み合わせることで、クライアントの皆さまにデジタル環境に適合した非常に強力で新しい提案ができるものと確信している」と語る。

 新会社の社長に就任したのは前AdRoll日本法人取締役会長の有馬 誠氏。楽天の副社長執行役員とCRO(Chief Revenue Officer)も兼任する。三木谷氏が「日本のインターネット広告の生みの親」と紹介した有馬氏は、ヤフー(Yahoo! JAPAN)の創業メンバーで同社常務やGoogle日本法人代表取締役などを歴任したことで知られる。榑谷氏も「新会社に有馬さんいうビッグネームを迎えたことで、日本のマーケティングにイノベーションを起こしたい」と語り、有馬氏に絶大な信頼と期待を寄せている。

 当の有馬氏は新たなポジションへの就任に当たり「興奮し、緊張している」としながらも、「ヤフーやグーグルで積んできたデジタルマーケティングのキャリアの総仕上げとしたい」と抱負を述べた。

左から三木谷氏、榑谷氏、有馬氏

 楽天の発行済みIDは9000万。グローバルのユーザー数は20億を数える。楽天スーパーポイントの付与数も2017年7月に累計1兆を突破している。1ポイントは楽天の対象サービスまたは楽天ポイントカードを通じて加盟店で1円として利用でき、利用率も非常に高い。有馬氏はこの「楽天エコシステム(経済圏)」で蓄積された膨大な消費者行動データを活用することで「新たなマーケティング領域で、マスとデジタルと店舗がデータでつながる新しい時代を電通と楽天が共同で切り開いていく」(有馬氏)というわけだ。

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