「Branded Shorts of the Year」授賞式が開催、黒木 瞳監督の新作も初公開企業がブランディング目的で制作したショートフィルム

国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア」開催する「Branded Shorts」は、2017年の最優秀作品「Branded Shorts of the Year」を選出。授賞式を開催した。

» 2017年06月09日 18時00分 公開
[織茂洋介ITmedia マーケティング]

 米国アカデミー賞公認、アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(SSFF & ASIA)」は、企業や広告会社がブランディングを目的に制作したショートフィルム(ブランデッドムービー)を上映、表彰する部門 「Branded Shorts」 を2017年6月5日から9日まで開催。6月7日には、公募により集まった国内外の36本の作品の中から、最優秀賞に当たる「Branded Shorts of the Year」を表彰するイベントを実施した。

 ナショナルカテゴリーにおいてはトヨタ自動車の『THE WORLD IS ONE FUTURE,JAPAN,SOUTH AFRICA,AND AUSTRALIA』(広告会社:電通/制作会社:スプーン)が受賞。日本と南アフリカ、オーストリア、そして未来のどこかという、4つの異なる舞台で、1台の車をモチーフに、若者たちの青春を同時進行で描いた作品だ。4分割された画面に映し出されるそれぞれのドラマは同じシナリオ、同じカメラワークで進行。地域も時代も登場する人種も異なるのに、そこで展開するストーリーは同じという構成で、人間の営みの普遍性をうまく描いている。

受賞者を代表してスプーンのプロダクションマネージャー 佐野 大氏(右)が登壇。プレゼンターはイベントの主催者であるSSFF & ASIA代表の別所哲也氏(左)が務めた

 インターナショナルカテゴリーの受賞作品は、カナダの文房具店であるTeke Noteの『Notes』(広告会社:BBDOトロント/制作会社:Skin & Bones)。テーブルの上のメモパットで交わされる夫婦の伝言の往来を固定カメラにでとらえた作品。手書き文字のやりとりが、2人の人生の紆余曲折を静かに、かつしっかりと描いた秀作だ。

Take Note代表ジョランタ・ペトリカさん(右)。プレゼンターは審査委員長で映画監督の崔 洋一氏(左)

 授賞式の開催に伴い行われたグローバルカンファレンスでは映画『踊る大捜査線』の監督、本広克行氏をはじめクリエイターたちが、企業や商品のブランディングにおける映像クリエイティブの意義について語った。

受賞者を囲む9人の審査員

黒木 瞳さんがショートフィルムを初監督

 また、ネスレ日本が最新ブランデッドムービー『わかれうた』を発表し、監督を務めた黒木 瞳さん、主演の石野真子さん、広告主であるネスレ日本 代表取締役社長兼CEOの高岡浩三氏が登壇した。

 同作品は38年ぶりの同窓会で再開する男女の、青春時代の別れと大人になってからのそれぞれの再会を、コーヒーの香りを通して甘酸っぱく、そしてほろ苦く描く短編ドラマ。ネスレ日本のオウンドメディア。ネスレアミューズ内のWeb映画館「ネスレシアター」でて無料公開している。

 ブランデッドショートの意義について高岡氏は「広告は新しいブランドを認知してもらうという役割においては今も有効だが、『キットカット』や『ネスカフェ』のように皆に知られているブランドが広告でお客さまと情緒的なつながりを築くのは難しい。インターネットでショートフィルムを配信することで、少し長めの尺でブランドの心、ストーリーを伝えられる。国境を越えて世界に伝えることもできる」と語った。監督の黒木さんは「私自身の高校生の頃の思い出が起点になった作品。受験勉強をしながらラジオを聞いてコーヒーを飲んでいた思い出がすごく印象的に残っている。そうした青春時代を、大人になった皆さんに『あ、こんなことあったな』と思って見ていただきたい」と、作品への思いを語った。

黒木 瞳さんはショートフィルム初監督

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