「コンテクストマーケティング」とは結局どういうことなのか。なぜそれが必要なのか。実践における課題とは何なのか。
前回「プランなきマーケティングオートメーションの落とし穴」では、ツール先行ではなくオンラインでのマーケティング活動を念頭に置くことの重要性をあらためて強調しました。やりたいこととツールができることは異なるため、前提条件をもう1度しっかりと考慮する必要があります。
今回は、既にコンテクストマーケティングを実践している先進企業の事例を踏まえて、オンラインでのマーケティング活動について、もう少し深掘りしたいと思います。
コンテクストマーケティングの「コンテクスト」について辞書で調べると、日本語訳として「前後関係」「文脈」「脈絡」が紹介されています。
例えば、ある事柄に対して共通の認識を持っている人たちの間のコミュニケーションは「ハイコンテクスト」という表現をすることがあります。コンテクストをお互いに理解していれば、曖昧な表現や通常使われないような言葉を使っても、行間を捉えてそれが意味するところを認識し、会話は成立するものです。逆に言うと、コンテクストを共有していない間柄では、同じ言葉を使いながらお互いに全く違うことを想像し、話がかみ合わないということが起こり得ます。
コミュニケーションにおいては、そこで語られている言葉を聞き手がどのように捉えているのかを確認しながら進めると、最も効率よく伝えることができます。日本のように、国内で使われている主な言語が1つしかなければ、曖昧な表現でも伝えることができますが、欧米のように複数の言語が利用されている地域、また宗教の違いなどもあって相互に共通する背景を持たないところでのコミュニケーションは、ハイコンテクストと正反対の状況、すなわちローコンテクストになりがちです。ローコンテクストなコミュニケーションにおいては、直接的で分かりやすい表現を用いるように心掛け、飛躍するような手順を踏まずに確実に認識を合わせていく必要があります。
上記のハイコンテクスト、ローコンテクストに関する説明を、Webサイトとそこを訪れる人々の関係に当てはめて考えてみましょう。
何らかの製品やサービスを探している際には、人々は比較サイトや専門のサイトで情報を調べます。そして、実際に興味を持ったものを幾つか選び、今度はそれを提供している会社のWebサイトに訪問することが多いと思います。
最初、訪問者は製品名やサービスについてよく知りません。つまりローコンテクストという状況です。そして、詳しい情報を調べて少しずつ理解を深めていきます。ハイコンテクストに近づいていくことで、ようやく問い合わせや資料請求などの行動に移るというわけです。
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