スムーズな営業引継ぎを実現するための要所となるのが、シナリオ・コンテンツ策定とスコアリング設計。MA運用においてマーケティング担当者の課題となることが多いポイントを解説します。
前回「マーケティングオートメーション、8割の企業がつまずく『導入後』の話 」では、MA導入後のリード情報整理から顧客分析における課題について、当社インテリジェンス・ビジネス・ソリューションの体験を踏まえつつ説明しました。今回はさらに多くのマーケティング担当者が頭を悩ませているシナリオ・コンテンツ策定からスコアリング設計、営業引き継ぎ定義について述べていきます。
まずはシナリオ・コンテンツ策定について事例を紹介します。
当社では、前項の成功ポイントで紹介した、購買プロセスに沿ってコンテンツを作成しています。コンテンツは、基本的にはマーケティング担当者が作成しますが、商材が多岐にわたるため営業部門と協力して進めています。
ここでのよくある失敗例は、対象となる顧客の購買プロセスなど意識せず、“ありもの”のコンテンツを取りあえず流用するといった発想で、マーケティング担当者が自社内で安直にコンテンツを作成して進めるようなケースです。こうなると顧客には、積極的に情報収集しようというインセンティブが働かなくなります。いくら顧客の属性と行動履歴を基にして適切な情報提供を心掛けたところで、有益な情報が含まれていないわけですから、そもそもメールを受け取ろうという気にならないわけです。
当社も「Marketo」を導入する以前、自社開発のマーケティングオートメーション(MA)ツールを運用し始めたころに、このような状況がありました。コンテンツ作成に追われる中で、いつのまにかコンテンツを作ること自体が目的になってしまっていました。
また実際、当社が顧客企業のマーケティング担当者から受ける相談も、このシナリオ・コンテンツ策定に関係することが多く、これが多くの企業でMAを十分有効に活用できていない大きな原因になっていると感じます。
当社がMarketoを導入した際には、旧システムでの経験から、ターゲット顧客や購買プロセスの設定、シナリオ設計といったことは特に重視していました。また、ホワイトペーパーやブログなどのコンテンツも多少は準備していたため、運用開始当初の施策展開については、比較的スムーズに実施することができたと思います。
MAを使った顧客への訴求はWeb集客の受け皿となるため、シナリオやコンテンツ作成については早めの着手を行うことでスムーズな施策実行が可能となります。もし可能であれば、ターゲット企業や購買プロセス、それを踏まえたシナリオ・コンテンツを想定した上で導入すべきMAを選定するといいでしょう。
しかし、定常的な作業に加えてコンテンツの刷新や新規作成が必要になると、どうしても十分に作成できないことがあります。その際には、営業部門に眠っているリーフレットや提案資料を活用することも1つの解決方法です。
そうしたものでも、やみくもに引っ張りだすのでなく、課題ごとにカスタマイズすれば立派なコンテンツとなります。当社でも、1サービスの汎用資料を、顧客が抱える課題ごとに分解してPDF化したりWeb化することで、ナーチャリングコンテンツにすることもあります。
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