前回まで、顧客のWebでの購買比較が増加し、リアルの市場よりも広範囲で競合分析が必要とされるに至ったことを紹介してきました。今回は、競合分析の具体的な流れについて説明していきます。
前回「Webとリアルでは戦う相手が違うから――正しく知りたい競合分析の進め方」でも述べましたが、競合分析の流れをあらためておさらいします。競合分析は以下の手順で進めます。
「施策の決定」は対象サイトの戦略方針やデータ、社内リソースを踏まえて決定する必要があるため、今回は「解決策の思考」までの具体的な手順を紹介します。
今回は人材業界のWebサイトを例にご紹介します。分析対象は転職支援サイトの「A」です。
ここでは競合解析ツール「SimilarWeb PRO」のデータを使用して説明します。SimilarWeb PROは統計的な参考数値・データを表示するツールであり、データ取得の際に特定のIPアドレスを除外していないために、サイト運営者などの内部アクセス数も計測しております。また、記事内に掲載している流入数の比較データはPC・モバイルを合算した数値を活用しており、その他のデータはPCからのアクセスのみを集計した数値を活用しております。アプリからのアクセスデータも含んでおりません。以上の理由から、実際のマーケティングに使う際には注意が必要ですが、同一条件で相対比較が可能になりますので、特定サイトの数値を時系列(昨対比など)で分析する場合とは異なった視点が得られます。該当業界の方からすると、「こういう視点で見た方がよい」「ミスリードしているのではないか」などの意見もあるかもしれませんが、その場合はぜひ、ご意見をお寄せいただければと思います。
SimilarWeb PROの「利用者の興味」という機能を活用すると対象サイトに訪問したのと同一セッション内に訪問したサイト一覧を表示します。つまり、対象サイトに遷移する前のドメインと対象サイトから離脱した後のドメイン情報を見ることができるのです。
こちらの機能を活用することで、競合他社サイトの中で、対象サイトと比較される可能性が高いサイトを特定することができます。
順位 | サイト名 | ジャンル |
---|---|---|
1位 | B | 採用サイト |
2位 | X | 口コミサイト |
3位 | Y | 採用サイト |
Aと一番比較されているサイトは大手採用サイト「B」である可能性が高いといえます。
SimilarWeb PROの競合を探すという機能を活用すると、対象サイトと検索エンジン上の流入キーワードの一致率が高いサイト一覧を表示します。これにより、競合サイトの中でSEO上の競合になる可能性が高いサイトを特定できます。実際の結果は以下の通りです。
順位 | サイト名 | ジャンル |
---|---|---|
1位 | C | 口コミサイト |
2位 | B | 採用サイト |
3位 | Z | 口コミサイト |
Aと流入キーワードの一致率の高いサイトは採用サイトだけではなく、口コミサイトの「C」もSEOという限定されたチャネルにおいては競合サイトであるといえます。
SimilarWeb PROの「ウェブサイトの利用者」という機能を活用すると、サイトの流入数を比較することが可能になります。上記2点で抽出したような、よく比較されているサイトや検索キーワードの一致率が高いサイトでも、流入数の規模が明らかに乖離(かいり)している場合、ベンチマーク先として適切でありません。投入しているリソースに差があり過ぎて、データを見ても対策案を出すことができないことからです。
そこでまず、上記2点で上がったベンチマーク先とAのサイト規模を比較していきます。
以上のようになります。
AとBはわずかな差で流入数を競っており、Cはやや乖離がありますが、上記で設定した競合2社は適切なベンチマーク先といえます。
流入数の規模が2桁以上乖離している場合は再度ベンチマーク先候補を抽出した方がいいでしょう。
一般的に、売上高や同業界内の大規模サイトをベンチマーク先として設定している担当者が多いようですが、的確な分析をするためには、現実的に戦える相手を設定する必要があります。
次にベンチマーク先として選定した企業の流入施策を比較していきます。
SimilarWeb PROでは、5サイトまで同時に比較可能なので、A、B、Cの他にも同業界内のサイトD、Eを入れて5社での比較を行います。
以上のようになります。
リファラル・SEOチャネルからの流入比率が高く、特にSEOチャネルの比率が高いので、このチャネルでどのように施策を打っていくべきなのか、SimilarWeb PROの「トラフィックソース」という機能を活用して分析していきます。
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