後編 プロモーション展開時のポイント――「文脈」「ステーククホルダー」「KPI」【連載】逆算思考のマーケティング戦略

前編ではマーケティング戦略立案の出発点において考慮すべきポイントを整理した。後編にあたる今回は、策定された戦略を実行に移す際の注意点を指摘する。

» 2013年04月08日 08時50分 公開
[菅原賢一,インテグレート]

 戦略の実行段階においても、立案時と同様、顧客が商品やサービスを「買う瞬間」から逆算して思考することが重要である。ポイントは以下の3つだ。

  1. 文脈……顧客が「買う瞬間」にまで到達できる環境を作る
  2. ステークホルダー……関与者全員のメリットを考える
  3. KPI……KGIから逆算して課題を抽出する

1. 文脈を設計する

 文脈(=コンテクスト)の設計とは、商品とターゲットを結ぶ地図を作るということ、つまり、「何」が「どういった形」で伝われば「買う瞬間」が生み出されるか、その道筋を明確に示すことだ。

 文脈を設計するプロセスには、コンバージョンパスを可視化するプロセスも含まれるので、どの段階にどんな情報をどんな話者に語ってもらうとよいか、詳細に検討することができる。

 例えば、前編で紹介したダイエット商品において、ターゲットの「痩せたい!」という欲求を高めるためには、メーカーが顧客に直接語りかけるよりも、「体重3キロ減の水着姿で彼氏のできる確率が40%以上、上がる!」と恋愛コンサルタントが解説する方が効果は高いかもしれない。あるいは、女性誌のダイエット特集の比較表の中に商品が載っていることが有効かもしれない。価格は広告で分かりやすく告知すべきかもしれない。いずれも仮説だが、これらの仮説を組み合わせて「買う瞬間」までのロードマップを敷くのである。

 このように、思考範囲に制限を設けず、あらゆる要素を活用して文脈を設計しよう。このステップを経ることで、自社商品の価値を明確化でき、実行力の高い施策の立案が可能になる。

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