強いブランドに必要な要素は何か。「ストーリー」で語るだけ、ファンが多いだけ……では、本当のブランドにはなれない。
強いブランドに必要な要素は何か。ストーリーを語り、顧客から共感を得ることか。それとも、ファンをたくさん作ることなのか──。「ブランド構築に向けて、力を入れて実行していることは何か?」と聞かれ、即答できる日本企業が、どれほどあるだろうか。
この質問は「自社のアイデンティティーや世界観を伝えるために、どんなマーケティング施策を打っているか?」という各論を聞いているのではない。「ブランドを構築するために、どのような戦略を描き、どう実務に落とし込んでいるのか?」を問うているのである。
そもそもプロダクトアウトの思考で高い技術力を武器にしてきた日本のモノづくり企業の多くにとって、“ブランド”はなじみの薄いものかもしれない。「ブランド構築」と「ブランディング」の違いも、あまりピンと来ない、という人もいるのではないか。
「ブランドは、日々の企業活動の積み重ねによってたどり着いた“結果”。企業に対する消費者からの“信頼の象徴”だとも言える。ブランディングはあくまでも“手法”であり、ブランド構築の一端を担うに過ぎない表層的な取り組みだ。ブランドを正しく理解し、ブランド構築を経営の中心課題に据えることで、日本企業に大きなチャンスが来ると信じている」
──そう語るのは、グローバル・イノベーション・ファームI&COの共同創業者であるレイ・イナモト氏だ。同氏にこれからのブランド構築の在り方についてインタビューした模様を、前後編でお届けする。
これまでブランド構築では、ストーリーが何よりも重視されてきた。企業は、ブランドに込めた思いをストーリーとして紡ぎ、語り伝えることで、消費者とつながり、思いを共有しながら、ともにブランドを築いてきたのだ。
しかし「このストーリーテリングの効果が、昨今、薄れてきている」とイナモト氏は指摘する。
その大きな要因となっているのが、インターネットやモバイル、ソーシャルメディアといったテクノロジーの普及だ。
かつては、企業が届けたいストーリーを消費者が読むという一方的なコミュニケーション構造が成り立っていた。しかし、情報の伝達技術が発達して、オープンな場で、顧客と双方向のコミュニケーションを取ることが当たり前になった今は、企業がストーリーを一人語りしたところで、消費者はそのまま素直に受け取るだけでは済ませてくれない。
ストーリーテリング一辺倒でのブランド構築に限界が来ているとはいえ、ストーリーテリングそのものが不要になるわけではない。これからの時代、ストーリーテリングだけでは“不十分になる”というのが、イナモト氏の考えだ。
では、ストーリーテリング以外に、何をすれば良いのか。
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