ストーリーテリングだけでは不十分な時代となった。これからのブランドは「何を語るか」ではなく、「どう信頼を築くか」に視点を移していかなければならない。信頼による差別化によってしか、長く愛される強いブランドは構築できないからだ。
ブランドがこれまでの企業の取り組みや姿勢の結果である以上、コントロールしようと思ってできるものではない。ただ、イナモト氏は、仕組み化することはできると話す。顧客がそのブランドらしさを体験できる“仕組み”を、長期的な視点で企業活動に組み込めるかが、ブランド構築の成否を分けるのだ。
「実際に、どんな仕組みが必要で、どうやって仕組み化していくかは、企業ごとに異なる」としつつ、イナモト氏は具体例としてHUMAN MADEの例を挙げた。HUMAN MADEは、ファッションデザイナーのNIGO氏が2010年に立ち上げたライフスタイルブランドだ。
ファッション業界に強い影響力を持つNIGO氏が手掛けるとあって、国内外で一定のブランド力は持っていたものの、売上高は長らく微増が続いていた。しかし、直近3年で売上高は約3.5倍に。2025年1月期には100億円を突破し、2025年11月には東証グロース市場に上場している。
この躍進の裏には、サプライチェーンの見直しや商品構成の整理といった表に出にくいオペレーション改革がある。
それまで季節ごとに行っていた商品企画を週ごとに切り替え、毎週木曜日の午前11時にオンラインストア内で発表した新商品を、その翌々日の土曜日の午前11時に発売するようにした。こうした新着情報は随時ニュースレターやWebサイト、Instagramで発信しており、顧客やファンとの暗黙の約束になっている。この積み重ねが信頼につながり、ブランドを強くしているのだ。
「一つ一つは小さな体験でも、繰り返し提供することで、再現性のある仕組みへと変わっていく。情報があふれる時代だからこそ、目立つキャンペーンで耳目を集める発想ではなく、透明性高く信頼を積み重ねる施策を考えるべきだ」とイナモト氏は強調する。
後編:ファネル→フライホイールへ レイ・イナモト氏が語る、ブランドが「信頼」を得るための“思考の型”とは?
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【概要】売上には「良い売上」と「悪い売上」があることを意識していますか。同じ規模の売上でも、初回購入によるものか継続顧客からのものかで、自社にもたらされる利益は大きく異なります。本講演では「良い売上」の最大化を図り、持続的な成長を実現するためのマーケティング戦略について解説します。
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