動画で製品の動きを収録し公開することで、幅広くステークホルダーへも呼びかけることに成功したアメリカの建設機械メーカーの事例を紹介します。
本記事は、「リッチコンテンツ・マーケティング情報局」で2012年10月24日に公開された「海外BtoBの活用事例! 訴求力のキモは“絞り込み”にあり―「Bobcat Company」(米建設機械メーカー)」を一部編集して転載したものです。
BtoB企業において、よく、企業のご担当者から「自社には、動画コンテンツにできるようなものがない」というお声をうかがうことがあります。
ですが、製品やサービスを提供している限り、発信できる情報は必ずあるはずです。製品の一番大きな特徴や打ち出したい機能、社内で行なっている取り組みなど、ほんの一部でいいのです。その伝えたい内容を、よりしっかりとお客さまへ伝えるためには、「伝えたい/見せたい部分に絞り込んで動画化する」ことが重要です。つまり、伝えたい内容以外の過剰な演出や映像は不要ということです。
それでは、動画で製品の動きを収録し公開することで、幅広くステークホルダーへも呼びかけることに成功した、アメリカの建設機械メーカーの事例を見ていきましょう。
日本にも販売会社を持つアメリカの『Bobcat Company』は、ショベルカーやブルドーザーなどの建設機械を中心に生産しています。同社では、自社製品を使っている様を映した1分半〜5分程度の動画を、インターネット上で大量に公開しています。
別アングルバージョンでは、動画のはじめに、このショベルカーを動かす担当の男性らが映っています(彼らは、関連会社の社員で機材を操作する担当をしており、『Bobcat Ninja』という名前で動画を公開しています)。途中で、付き添いの男性の人影が映り込んでいます。
この動画のポイントは2つあります。
動画は、ショベルカーがゴルフボールやビールビンを丁寧に持ち上げる動作を、その一点に集中して大きく映すことにより、現場の緊迫感や迫力が伝えています。これは、ユーザーが現場にいた場合の視点を再現しているのかもしれません。ユーザーは集中して、じっとショベルカーの先端一点を見つめるでしょう。今回の場合、画の切り替えなどは、むしろユーザーの直視したいという気持ちを阻む過剰な演出となってしまうので不要なのです。
仮に編集で映像をつないでいたら、「成功した部分だけをつないのでは?」という疑問をユーザーに抱かせてしまう可能性があります。臨場感が出るとともに、同社の技術力が本物だということを暗に伝えているのです。
この動画は、視聴者が見ていて楽しいだけでなく、技術力や製品の性能など、同社に対する魅力や安心感を得ることができるでしょう。もちろん、ショベルカーの本来の使い方としては、土を掘るなどの作業になるのでしょうが、建設業界に従事しているわけではない筆者としては、「こんな繊細なこともできてしまうなんて」という、これまで抱いていたイメージとは異なる関心を持つことができ、興味が湧きました。
また、同社ではほかにも、こんな動画をたくさん展開しています。
実際の作業風景や機能がすぐに分かる動画で、「こんなに根っこから綺麗にとれるものなんだなあ」と感心してしまいました。先に紹介した2つのポイントが使われており、このマシンに明るくない筆者ですが、便利かつスムーズに作業できるものなのだと理解することができました。こうした動画は、製品デモなどでも利用できるかもしれませんね。
もちろん、複数の角度からの撮影や演出、編集などが効果的な場合も多々あります。しかし、今回のように、目的次第ではシンプルな作りこそがユーザーの心を打つケースもあります。
同社の動画は、広くバイラルされ話題になっています。そのことから、技術や性能など、自社が伝えたいと考えている部分をピンポイントで収録した動画は、自社の顧客のみならず、広くステークホルダーに対しても呼びかけられるよいツールになりえるのではないでしょうか。
演出や編集を凝る必要もありませんので、まずは何か1つ、自社の強み、魅力をストレートに動画で伝えてみてはいかがでしょうか?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.