日本ケンタッキー・フライド・チキンは5日間のキャンペーンでTwitterのフォロワーを約4万人も増やした。フォロワーを一気に増加させたキャンペーンの中身やソーシャルメディアの運用体制などを聞いた。
2012年7月4日にケンタッキーが実施した「食べ放題」企画では、45分間、1人1200円で好きなだけフライドチキンを食べられるため、多くの顧客が店舗に訪れました。その反響はネット上を駆け巡り、多くのWebメディアで取り上げられました。主要なWebメディアの記事がソーシャメディアで拡散した数を合計すると、「はてブ448個」「ツイート5815回」「いいね! 971人」という結果が出ています。もちろん、Twitter、Facebook 上の露出はさらにその何倍にもなります。
ケンタッキーは、ソーシャルメディアを使ったキャンペーンやアカウント運用などにも積極的です。今回は、インタビューという形で、メンバーズ、トーチライト、ガイアックスの3社がコラボし、ケンタッキーのソーシャルメディア運用チームの方々にお話をうかがいました。
メンバーズ、トーチライト、ガイアックス(以下、インタビュアー) ソーシャルメディアを利用している目的や背景などについて教えていただけますか?
日本ケンタッキー・フライド・チキン(以下、ケンタッキー) 弊社の場合は、販促というよりもブランディングや関係構築のためにソーシャルメディアを利用しています。これまで、ケンタッキーのマーケティング活動では「モノはよいのに、TVのCMだけではその良さを伝えるのが難しい」という課題を感じていました。
例えば、店舗で提供するフライドチキンは冷凍ではなく生のお肉をその場で調理しています。ケンタッキーは「ファストフード」としてくくられることもあるため、冷凍肉を使い、簡易な調理をしていると思われている方が多いかもしれないのですが、実際には素材の良さにこだわっているのです。そういった商品の良さやこだわりといったものを、共感してもらいながら広げていきたいと思っています。そして皆さんからもフィードバックをいただきながら、サービス改善にも活かしていけたらと思っています。
インタビュアー (ソーシャルメディアの取り組みは)干場さんが担当している「リレーションシップマーケティングのタスクフォース」とも連携しているのですか?
ケンタッキー はい、そのタスクフォースには「CS」「マーケティング」「コーポレート広報」など多くの部署が関わっています。Facebook、Twitterといったソーシャルメディアは会社の顔にもなるため、運用状況をタスクフォースの場で共有しています。
インタビュアー FacebookやTwitterなどいくつも公式アカウントを運用されていますが、いつくらいから運用を始めたのですか?
ケンタッキー 2010年10月にTwitterアカウントを初め、1年後の2011年7月にFacebookページの運用を始めました。ケンタッキーは7月4日が創立記念日なので、Facebookはその日に合わせて公開しました。もともと、弊社の代表がソーシャルメディアの活用に興味を持っていたことが運用を始めたきっかけの1つです。1年以上運用してきたのですが、Twitterのフォロワーは8万7000人、Facebookページのファンは2万8000人を超えました。
インタビュアー 先日開催された「生誕記念キャンペーン」について、目的や実施内容について教えていただけますでしょうか?
ケンタッキー カーネル・サンダースの生誕記念で開催したキャンペーンで、当初は9月7日から9日の3日間の予定でしたが、応募が止まなかったので12日までの5日間に延長しました。抽選には、ケンタッキーの公式アカウントをフォローした上で、「#KFC1年分プレゼント」のハッシュタグを含めたツイートをすると応募完了となる形式にしました。
インタビュアー キャンペーンに参加してもらうためにどんな告知を行ったのですか?
ケンタッキー 「食べ放題」企画でソーシャルメディアの力を知ったので、ソーシャルメディアメインで行いました。食べ放題企画は、CMや広告出稿などはせず、プレスリリースやTwitterでつぶやいたくらいでした。それがネット上の口コミでどんどん広がっている姿を見ていたので。ただ、ソーシャルメディアでの拡散がメインの集客とはいえ、そのブーストになるような仕掛けは用意しました。以前、クラッシャーズ(ケンタッキーの氷菓)のプロモーションの一環で、Twitterの広告商品「プロモトレンド」に出稿した時に、実購買につながり、成果が出やすいと感じました。そこで今回の生誕記念キャンペーンでも出稿しました。それ以外の広告は特に行っておらず、Twitterでも生誕記念とは伝えていたのですが、「生誕記念キャンペーンを開催する」とはアナウンスしていませんでした。
フォロワーの増加もとても順調でした。キャンペーンを始める前に約4万8000人だったフォロワーは、キャンペーン後は8万7000人になり、約4万人も増えたことになります。ツイナビのフォロワー増加率ランキングでも1位を獲得し、キャンペーンとして成功を収めることができました。
インタビュアー キャンペーン参加のツイートを見ると、ただ定型の文言だけじゃなくてコメントをしてくれている方が多くいましたね。
ケンタッキー 予想以上にコメント付きでツイートしてくれる方が多く、私たちも驚いています。特にエピソードを書いて下さいと、お願いたわけではないにもかかわらずです。
こういったコメントを見ていると、みんなケンタッキーのことを好きでいてくれることが分かって嬉しかったです。今回のツイートを見ていると、お客様はそれぞれケンタッキーに対するストーリーや思いを持ってくれているのだなと感じました。ソーシャルメディアを活用する時も、奇をてらうより、普段からしっかりとしたサービスが大切なのだと、改めて思いました。
インタビュアー 川波さんはもともと大阪のお店で店長をされていたとのことですが、どういった経緯でソーシャルメディア担当になったのですか?
ケンタッキー アカウントの立ち上げの際に、ソーシャルメディアアカウントの担当者を社内公募しました。ネット上といえども、お客さまとコミュニケーションを取るので、店舗で接客経験がある人がいいと思っていたのです。多くのスタッフから応募があったのですが、新しいことにチャレンジしていくということもあり、若く、女性である川波に来てもらいました。
インタビュアー 今後、店舗とソーシャルメディアの連動はどのように考えているのですか?
ケンタッキー まずFCオーナーの方に、ソーシャルメディアやその効果について説明したいなと思っています。今回のキャンペーンで得られた声は、まさにソーシャルメディアの効果を実感していただくにはピッタリだと思います。またこうした声を、店舗の接客クオリティの向上にも使っていけるのではないかと思っています。店舗で接客していた経験上、お客さまからお礼を言われるケースは少ないですし、サービス提供後にどのように喜んでもらえているのかも感じにくいです。ソーシャルメディアで得られたお客さまの声を、店舗に上手くフィードバックすることによって、改めて接客の大切さや、接客レベルの向上に対するモチベーション喚起にもつながると考えています。
インタビュアー 最後に、今後のソーシャル活用で考えていることを教えて頂けますでしょうか?
ケンタッキー 今後は、サイトのソーシャル化やスマホファーストの取り組みをしていこうと思っています。弊社とソーシャルメディアとの親和性が高いことが、分かって来たので。それ以外にも、O2Oの取り組みなど直接、売り上げに貢献できることもしていきたいです。
※本記事はGaiaXソーシャルメディア ラボの「食べ放題」が人気すぎたケンタッキーが仕掛けた「次の」ソーシャルメディアキャンペーン、その内容と効果とは?をITmedia マーケティング用に編集し直したものです。
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