「CTRを高めること」+「コンバージョンレートを上げて、CPC単価を向上させること」――。良質なユーザーの良質なクリックをどれだけ多く獲得するか。スマートフォンメディアで収益を拡大するにはこのポイントを忘れてはいけない。
ネットメディアの主な収益源は広告収入かサービス課金である。スマートフォンメディアでも状況は同じ。広告収入に依存するビジネスモデルの導入はサービス課金と比較して参入障壁が低く、個人で簡単にアプリを作れる開発者にとっては非常に魅力的である。それだけに数多くの個人/企業が広告収入モデルを採用しているのだが、実はここに多くの誤解があることも事実。今回は特にスマートフォンメディアを運営する際の広告収入モデルに関する誤解を解く。
スマートフォンメディアの広告収入を軸としたビジネスはどのような仕組みになっているのだろうか? 多くは、ユーザーがクリックした際に課金が発生する「CPC型広告」モデルである。この収益モデルのプロセスを分解すると、下記の図のようになる。
(1)〜(3)の全ての要素の値(広告表示回数、クリック率、クリック単価)を大きくすれば全体の収益が大きくなる、というのがCPC型広告の基本的な考え方である。例えば、「収益を高めるために“CTR”を飛躍的に伸ばせる位置に広告枠を設定しよう!!」といった声をよく聞くが、果たして、単純な掛算で全体のパフォーマンス向上が導き出せる、と考えてしまってよいのだろうか? それぞれの要素を大きくすれば、本当にCPC型広告の全体パフォーマンスは高まるのだろうか?
まずは、「広告表示回数」「クリック率」「クリック単価」それぞれを個別に見てみよう。
(1)「広告表示回数」を増やすという部分は誰もが異論のないことだろう。ユニークユーザーを増やすためにプロモーションを行ったり、閲覧数を増やすためにページ数や使用頻度を高めるような仕組みを作り、広告収益を高めるのは重要である。このことは、PC Webやスマートフォンなどデバイスに依存することではない。
では、(2)CTR(クリック率)を高くするという部分についてはどうだろう? 一般的に「CPC型広告」の場合、クリックで課金が発生するため、CTRの高さが直接的な収益につながる、という考え方自体は正しい。しかし、ここで、注意しないといけないことがある。
そもそも、広告というビジネスモデルが成立しているのは、「広告を出稿したい」という広告主が存在するからだが、広告主は通常、プロモーションの目的とそのプロモーションの効果を判断するために、何らかの指標を持って広告を出稿するわけで、設定した指標に対する効果が期待値を上回れば広告を継続するか、あるいは広告の出稿額を増やす。
ゆえにメディア(の広告枠)は、広告主が設定した期待値(指標)を超えるパフォーマンスを求められるのだが、この考え方を前提とした場合、現状のスマートフォン広告市場においては、広告主の多くが求めている指標をクリアするにはどうするか、という観点に立って広告枠を設置する必要が出てくるはずだ。しかし、スマートフォン広告市場の広告主の8割は、実はレスポンス型広告(CPA型広告)を出稿しているのである。すると、単純にCTRを高める施策を展開するだけでは広告主を満足させることはできず、さらに一歩踏み込んで具体的なアクション(例えば、資料のダウンロードなど)を促す施策を設計し、実施しなければならない。
つまりCTRを高め、さらに、広告主の目標CPAを満たすコンバージョンレートを出せば、結果的に、スマートフォン広告の市場はさらに発展し、メディアの収益も向上すると考えられる。
この秘密を紐解くために、最後の(3)CPC(クリック単価)の部分を見ていこう。
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