AKB48で売上36%アップ、カゴメ『野菜一日これ一本』のPR戦略(3/4 ページ)

» 2011年11月24日 08時00分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

ほかの野菜ジュースブランドにも好影響を与えた

鶴田 キャンペーンの実績や効果について、いくつか数字があります。

 PRイベントは254件の露出が獲得でき、うちテレビでは6番組で取り上げられました。また、3カ月間行ったマストバイキャンペーンには462万件の応募がありました。またテレビCMはCM総合研究所の7月の好感度ランキング(参照リンク)で2694銘柄中8位とベストテン入り。キャンペーンサイトは7〜9月で2500万ページビューと、カゴメのWebサイトやキャンペーンサイトに日頃はこんなに来ないのですが、とても多くの人に見ていただきました。キャンペーン認知率は77.7%と、短期キャンペーンとしては非常に高かったです。

 結果として、7〜9月のキャンペーン期間中の『野菜一日これ一本』の売り上げは、前年同期比36%増となりました。店頭販売については、次のグラフの通りです。

1店舗当たりの販売金額(折れ線グラフ)とテレビCMの出稿量を表すGRP(のべ視聴率、棒グラフ)の推移。左端が2009年春で右端が2011年秋。2011年2月にパッケージをリニューアルしたことも売り上げ増加に寄与したという

 キャンペーンを行った2010年5月に1つ目の山ができていて、スーパーはそこまで増えなかったのですが、CVS(コンビニ)は反応が良かったですね。そしてキャンペーンを終えた後も、展開前と比べてベースの売り上げが上がりました。

 今年7月のキャンペーンではスーパーもCVSも相当伸びています。営業が流通の現場で「2010年に売れたので、今年もいけますよ」とお願いして、商品をたくさん露出したおかげで、とても効果が高くなりました。結果として、2011年は過去最高の売り上げを達成する見込みです。

 「野菜ジュース=元気」というイメージの促進とか、「ランチで一緒に飲んでほしい」とかいろんなことを言いましたが、人間はそんなに複雑なことは頭に残らないんですね。キャンペーンについて自由回答で尋ねた時、「楽しそう」とか「元気そう」とかそんな答えばかりでした。

 「でも、それでもいいじゃないか」と僕は思いました。「野菜ジュース=元気、新鮮、若々しい」というイメージを与えたことは実はカテゴリ全体にも好影響を与えていて、カゴメには『野菜一日これ一本』の3倍くらいの売上規模のブランドとして『野菜生活100』という商品があるのですが、夏場はそちらの売り上げも堅調に推移しました。

 実は東日本大震災で工場が被災して十分な商品供給ができなかったため、4〜6月の野菜ジュースの売り上げは低迷しました。しかし、7〜9月に好調だったため、上期の野菜ジュースの売り上げは何とか前年を上回りました。

 また、「野菜ジュース=元気」というイメージはまったくターゲットにしなかったシニア層の需要も刺激して、紙パックの1リットル商品の売り上げがすごく伸びました。調べてみると、60〜70代の人々が買われたということです。そもそもターゲットをものすごく絞り込んでスタートしたキャンペーンなのですが、AKB48が今や世代を問わず認知があるということ、野菜ジュースと親和性のいいタレントということもあって、シニア層が伸びたというのはうれしいことでした。

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